運命の花冠 ~選ばれし乙女と氷の王~
月妃
第一章:異世界への扉
ルミナは目を覚ました瞬間、自分がもはや孤児院の狭いベッドの上にいないことに気づいた。柔らかな草の感触が背中に広がり、頬を撫でる風は不思議なほど甘い香りを運んでいた。
「ここは...どこ?」
彼女は慌てて立ち上がり、周囲を見回した。目の前に広がっていたのは、見たこともないほど鮮やかな花々で彩られた広大な草原だった。空は深い青色で、雲一つない。
突然、彼女の胸元で何かが輝きだした。驚いて目を落とすと、首にかかっていた見覚えのないペンダントが淡い光を放っている。それは花の形をしており、中心には春の息吹そのものを閉じ込めたかのような輝きがあった。
「あなたが選ばれし乙女ですね」
突如として聞こえた声に、ルミナは飛び上がりそうになった。振り返ると、そこには白髪の老人が立っていた。穏やかな笑みを浮かべているが、その目には計り知れない知恵の光が宿っていた。
「私は...選ばれた?何に?」
老人は静かに頷いた。「あなたは春の花冠の担い手として、この四季国に召喚されたのです。我々の世界は今、大きな危機に瀕しています。そして、あなたの力が必要なのです」
ルミナは混乱していた。異世界、四季国、春の花冠...全てが突然すぎて、頭が追いつかない。
「でも、私には何の力もありません。ただの孤児で...」
「いいえ」老人は優しく微笑んだ。「あなたの中には、この世界を救う力が眠っているのです。さあ、一緒に四季宮へ参りましょう。そこであなたの使命について、詳しくお話しします」
ルミナは深く息を吸い込んだ。不安と期待が入り混じる中、彼女は老人の後に続いた。未知の世界での冒険が、今始まろうとしていた。
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