お稲荷さん(次期)と花子さん(トイレの)


 平凡男子高校生の俺、風神日向は。

 休日のショッピングモールで。

 白髪赤目の美少女が幽鬼なるものを祓うところを目撃し。

 助手兼”眼”になって。

 事務所だという、ほぼ家に連行され。

 

 今に至る。


 ……は?と言われるかもしれないが、現実はどっかのミステリーよりも奇なりであった。

 事実、俺は事務所だというほぼ家に連行され、「片付けるからちょっと待ってて」という謎に「女子の家に遊びに来ました」感の強い謎の状況に陥っている。


 ……どういう状況だこれ。


「お待たせ〜。入っていーよ」

「お邪魔しまーす」

「邪魔すんなら帰れー」

「お邪魔しましたーって何だこれ」

「さあ?取り敢えず早く入ってよ」

「いや、お前がこの茶番を始めたん……」

「なにか、言ったかな?」

「……イエ、イッテナイ、デス」

「よろしい」


 そういってアカツキはにこっと笑った。くそっ!17歳童貞の胸はこれだけで高鳴ってしまうのだ。無念なり……。

 

 茶番を繰り広げたのち、ようやく事務所(家)に入れてもらった。長かった。


「思ったよりも綺麗だな」

「思ったよりも?なんか言ったか!?」

「かはぁッ」


 鋭いボディーブローが飛んできて俺の鳩尾にクリティカルヒットする。

 それはもう、遠くからコングの音が聞こえてきそうなほど素晴らしいパンチだった。


「って俺死んでない!!」

「何一人で百面相してんのさ」


 俺にアカツキから発射される軽蔑の視線がグサグサと突き刺さっていく。


「あ、ヒナタには紹介しとくか」

「紹介?ペットでも飼って……」

「呼ぶから待ってて〜」

 

 俺に向かってそう言うと、アカツキは呪文らしきものを唱えだした。何をする気なんだ。


「我が眷属よ。かの依代より今いでよ。急急如律令!」


 アカツキが言い終えた瞬間、辺りを眩い光が包み込み……


 狐耳が生えた巫女服ぱっつんまろ眉の少女と

 『ザ・花子さん』の格好をした少女が現れた。……何もなかったところから。


「うわあああああっ!!!!」

「うるっさいわね!黙れないのっ!?」

 

 花子さん(仮)に怒鳴られた。

 



 ……え、俺どういう状況?

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心霊探偵〜視えない探偵と視える俺〜 まんまるうさぎ @manmaruusagi

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