〖1分で読める〗ラブホ行ったけど本当に何もなかった話

YURitoIKA

ラブホ行ったけど本当に何もなかった話

「ねぇ」

「はい」


「あたし達ラブホ入ったんだよね」

「はい」


「で、今はチェックアウトの時間。けどあーら不思議。ねぇ? あたしの処女膜が破られてないんすけど」

「そうなんですね」


「人の処女膜を他人事にするなっ!」

「処女膜を自分事にする男がいるのかぁ!?」


「あたし達酔っぱらってラブホに入ったんだよね」

「はい。先輩暴走したエヴァみたいでした」

「で、お互い酒くせぇからってシャワー浴びたよね」

「はい。シャワーヘッドをマイクに見立てて残酷な天使のテーゼ熱唱してました」


「へ、一緒に入ったっけ……」


「いや、影からみえました。あと声でかい」

「…………(無言の蹴り)」


「その後はどうしましたっけ」

「あたしの気のせいじゃなきゃさ」

「はい」

「あんたスマブラ持ち込んでたよね。会社帰りの。ビジネスバッグに」

「確かにスマブラしました。いや、後輩相手にカズヤ使うとかあり得ないっすよ」

「どうでもいいわそんなの。え? つまりあたし達エッチじゃなくてスマブラしてたってこと?」

「乱闘じゃなくて乱こ(無言の蹴りを喰らう)」

「なぜ、どうして? 酒も入ってシャワーも浴びた女をどうして抱かないのっ?」

「カズヤ使いを抱くわけないでしょ」

「そもそもビジネスバッグにスマブラとスイッチ持ち込んでるてめぇがおかしいだろがよっ! あー、もう最悪。……さいあく。せっかく、せっかく今日の夜こそって……勝負下着……履いてきたのに」

「せ、先輩……そんな泣かなくても……」

「どんなプレイにも対応しようとおしゃぶりやビキニも持ってきたのに……」

「あんたこそなんつーもんビジネスバッグに突っ込んでるんだよ」


「もういい……帰る」


「先輩」

「なに?」


「でも俺ら、今日オフっすよね。だから飲んだくれたわけですし……」

「そうだけど…………」

「俺ん家、来ます?」




「…………。


 …………。


 …………。


     いきゅ」




 ──オチ。このあとめちゃくちゃスマブラした。

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