第7話 別れたあと
「もも?あれから何をやっていたの?」と優子が徐にももの隣に歩み寄って行った。
ももが「え。それは、私の方もあまり人との繋がりを控えていたから引きこもって居たかな」と優子に返事を返した。
優子が「そう。ももは、いつも一人だったもんね」とももの気持ちに寄り添った。
ももが「優子だけだよ。私の気持ちを分かってくれる人は」と優子の懐かしい声に何故か涙が出てきた。
優子が「全く、ももは大袈裟なんだから」と思わず笑みが溢れた。
ももは「わー、あそこに刺身があるね。今日食べようかな」と笑顔を見せた。
優子が「あ、誰か刺身取ってっちゃったよ」とももに報告すると、ももが「あー、食べようと思ったのに」と舌打ちをした。
その刺身を取って行ったのが、裕一郎で「へ?もしかして、この刺身を食べたかったんですか?」とももに向かって声を掛けた。
ももが「へ?私が食べたかったのにあなたが勝手に刺身を取ってたんでしょう?」と裕一郎を横目で睨んだ。
裕一郎が「良いですよ。どうせ、僕は違う店で刺身を買う予定だったんで、差し上げますよ」とももに刺身を譲った。
ももが「ありがとうございます。何てお礼を言ったらいいか」と戸惑いながら話をした。
裕一郎は「あ、御礼なんて入りませんから」と裕福そうな笑顔を見せた。
ももは「何て優しい人なんでしょう」と裕一郎の背中を眺めていた。
裕一郎は近所では優しいって有名よと近所のおばさんたちが噂をする中、
ももは「決めた。あの裕一郎と一緒に暮らして見たい」と言う気持ちが湧いて来た。
優子が「もも、もう心が決まったの?あの裕一郎さんと一緒に暮らすの?」とももに尋ねた。
ももは「うん、でもみんなが噂をしてるって事は、絶対、競争率が高いよね?」と裕一郎を思うと気が遠くなった。
奈々恵が「裕一郎さん。今日は此処で買い物ですか?」と雄一郎に対して馴れ馴れしく声を掛けて来た。
ももが「ちょっとちょっと、あんたばっかりずるいじゃない。私だって雄一郎さんと話をしたいんだから」と奈々恵に刃向かった。
奈々恵が「裕一郎さん。私の事をこんな風に酷く言うのよ。嫌な女」と裕一郎さんにベタベタして来た。
裕一郎が「二人共辞めないか。こんな事をしてもしょうがないじゃないか?」と奈々恵たちを逆手にして冷たい目を向けた。
奈々恵が「ああ、つまらないの。行こうかしら?」と裕一郎に冷たくされて、ことごとく気持ちが冷めた。
ももは「かっこいい。裕一郎さん」と目をキラキラさせていた。
裕一郎が「さっきの僕を見たら、嫌になるだろう?」と情け笑いを浮かべた。
ももは「いえいえ、それよりもカッコよくて良いです。私は素のままの裕一郎さんが好きですよ」と裕一郎に素直に気持ちを伝えた。
裕一郎が「そうか?そうやって僕の事を褒めてくれるのは、ももちゃんだけだよ」とももに笑顔を見せた。
ももは裕一郎さんに似合う女性になりたいと努力をして居たが、裕一郎は「そんなに頑張らない、ももちゃんが好きだから」と褒め言葉だけでお腹一杯だった。
ももは恋愛バイブル本を買って、読むようになって居たが、ちんぷんかんぷんだった。
ネイルをしてみたり、化粧をしてみたり、それでも裕一郎は「今の化粧しないももちゃんが好きだ」と言ってくれる人が今まで居なかったので、ももは「ありのままの自分って難しいな」と思うようになって居た。
優子が「見る間もなく、ももは女の子らしくなったね」と言われるようになっていたが、ももは「まだまだ、私にはありのままの私って難しいなって思った」と優子に話を持ちかけた。
優子が「そうね?あんまり私も考えた事がないけど、飾らない自分じゃないの」とももに話し掛けた。
ももは「飾らない自分か。ますます難しい」と優子にぶつぶつ呟いていた。
優子が「あんまりけばいと、素のままの自分じゃなくて飾っている自分になってしまうよ」とももにアドバイスをした。
ももが「やっぱり裕一郎さんに嫌われちゃうかな?」とすごく顔が青ざめていた。
優子が「そうかもね?ま、気楽にやりなよ」とももに優しく声を掛けた。
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