第6話 優子

女性は「田川 優子」と家の表札には書いてあった。

優子が「はーい。明美ちゃん、待って居たわよ」と玄関を開けて顔を出した。

明美が「ごめんなさい。もしかすると迷惑かなと思って居たけど、やっぱりあの母親の元で暮らすのが嫌で」と優子に話を始めた。

優子が「だと思ったわ。あんなに母親のももの話をすると嫌な顔をするんだもん。また来ると思って居たわ」と明美を家に上がらせた。

明美が「ありがとうございます。お邪魔します」と玄関で靴を脱いだ。

優子が「あ、今さっき、明美ちゃんの母親のももが来てね?明美ちゃんに対して酷い仕打ちをしたのは、明美ちゃんにまさとさんを取られそうで嫌だったから、ヤキモチを妬いて居たって聞いたわ」と明美に話し掛けた。

明美が「何で?そんなに嫌なのに私のお父さんと結婚をしたの?」とももに対して不満をぶつぶつ呟いて居た。

優子が「そんな不満を言ったって、しょうがないわよ。あの、ももだって言い方はキツくても心の中では明美ちゃんの事を想って居るはずよ」と明美に対して気持ちを伝えた。

明美は「どうせ、あなたも大人は大人で、私みたいな子供の気持ちを分かろうとはしてくれないものね」とムキになって発言をした。

優子が「こら、明美ちゃんの母親は、どんな親でも親なんだから。そんな事を言ったら、ももが気を悪くするわ」と明美に注意をした。

明美は「もう、ガッカリしたわ。優子さんにも私の気持ちを分かって貰えないなら、私は出て行くよ」と優子に腹を立て家を出た。

里美が「あら?明美じゃ無い。こんな所でどうしたの?」と明美に声を掛けた。

明美が「それがさ?私の母親のももがまともにご飯も食べさせてくれないし、お父さんの事を私に取られると想って、ヤキモチを妬いているのよ」と里美に愚痴を漏らした。

里美が「仕方ないわよ?そんな事を言ったって、ももさんの事を違うお母さんに変えられる訳じゃ無いんだから」と明美に返事を返した。

明美が「今日泊まれる場所が無くて困って居るの」と話をすると、里美が「じゃーさ?あそこのタスパホテルに泊まったら?新しくホテルが出来たから良いと思うよ」と明美に提案をした。

明美が「そうだね?行ってみようかな」と里美の提案に賛成した。

明美は、タスパホテルで一泊し、ホテルの食事を食べた。

明美が家に帰る頃には、ももは居なかった。

明美が「あれ?ももさんは?」と父親のまさとに尋ねると、まさとが「さっき、ももとは離婚をしたんだ。昔の母親の郷美が好きだったからな」と言う理由が口を突いて出た。

まさとに対して、明美は「そうなんだ。実は私も、ももさんの事が嫌いだったんだ」と安堵の表情を浮かべて居た。

まさとが「そうか?それなら良かった」と明美に返事を返した。

テーブルの上には、まだももにプレゼントをした指輪が一つだけ残されて居た。

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