第2話 コミュ障の魔王、冒険者になる
多少木がある草原という感じの所に着いた。すかさず木に隠れてキョロキョロと辺りを見渡してみる。
人間も魔物もいないようなのでほっとした。探知スキルを使って城の方向に向かって行く。
探知スキルだから町や人間、魔物や魔族の居場所もわかるのだが、恐る恐ると木の陰から木の陰へと慎重に移動した。
しばらくすると城門が見えてきた。木の陰から顔を出して城門をじーっと見た。
城門には警備兵が二人いた。
(見知らぬ者が入ろうとすると検査とかあるのかな?)
そう思いあれこれ考えると問題点に気づいた。
(あっ! 称号やスキルとステータスの幸運が怪しまれる!)
気づいた問題点を解決するために、偽造スキルでステータス画面を偽造した。
(名前もビビマオールだから我が魔王とバレるな……名前を何に偽造するかなー?)
そう悩んでいたが、人間の名前はよくわからないから『マオ』にしておいた。
準備は出来たのでいざ城門へ向かった。オロオロと挙動不審さが出てしまい案の定、警備兵に声をかけられた。
「見たことない人ですね? ステータス画面見せてもらえますか?」
ドキドキしながらステータス画面を見せると警備兵は深刻な顔をして確認する。確認が終わると笑顔になった。
「問題ないようですね。失礼しました。城下町にお入り下さい。ユーシャ城下町にようこそ」
我も返事をした。
「あ、はい。よろしくお願いします!」
テンパって言ってしまった。何がよろしくお願いします何だか……
城下町に入りつつ、普段の生活を思い浮かべる。
(我の城の一部の部下としか普段会話してないからコミュ障になってる。我はうまくやって行けるのか?)
不安になりつつも、冒険者ギルドを探した。中々冒険者ギルドが見つからない。
人間に聞こうにも話しかけづらい。トボトボと城下町の中を歩き回った。
冒険者ギルドに着いた時にはヘトヘトだった。そりゃそうだ。雑魚スライムより雑魚ステータスなのだから。
冒険者ギルドの中に入ると人間が大勢いる。魔王を討伐しようとしている者達の中に紛れ込むのだから、当たり前ではあるが。
我は緊張してぎこちなく受付に行き、係員の女性に声をかけた。
「あ、あのぼ、冒険者になりたいので、と登録したいのですぎゃ!」
緊張しすぎて最後に噛んだ。
受付の女性はその光景を見て、うふふと笑いながら返事をする。
「はい、冒険者に登録ですね。ではステータス画面を見せて頂けますか?」
我はコクコクと頷きながらステータス画面を見せた。
受付の女性は悩ましげな顔をして答える。
「うーん、この強さだとEランクですがよろしいですか?」
「ひゃい!!」
呂律が回らずに変な声が出てしまった。我は『コミュ障も何とか直そう……』と思いつつ冒険者の登録を終えた。するとブレスレットを渡された。
「この魔道具のブレスレットに、あなたの冒険者としての情報と、討伐記録などが書きこまれます」
ビビり魔王、冒険者になる 藤谷葵 @AoiHujitani
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