第六章:神々の試練と襷の挑戦
梁山泊神ノ学園の二学期が始まった。夏の課題や特別授業を経て、襷は神々の子供たちと少しずつ打ち解け、日常が彩りを増していた。だが、新たな試練が彼らを待ち受けていた。
新しい試練「神宝の選定」
ある日、校長の猿田彦大樹が講堂に集まった生徒たちを前に語り始めた。
「二学期の最大の課題は『神宝の選定』だ。各自、自分に最もふさわしい神宝(神器)を見つけ出し、それを扱える力と覚悟を証明してもらう。」
「神宝?」
襷は隣の風花に小声で聞いた。
「神様としての力を象徴する特別な道具のこと。神になるには、神宝を持つことが必要なの。」
「なるほど……でも、僕にそんなものが見つかるのかな。」
襷は少し不安そうに呟いた。
襷と個性豊かな神宝たち
試練では、学園内に隠されたさまざまな神宝を見つけ出し、それぞれの特性に合った者がその力を引き出せるというルールが設けられていた。
「よーし、見つけたら一番乗りで試してみるぜ!」
天斗が意気込んで走り出すと、風花や実桜も後を追った。
襷も校内を探索し始めたが、どうしても自分に「これだ!」と思える神宝に巡り合えない。
困難に直面する襷
数日後、ほとんどの生徒が自分に合った神宝を見つけ、校庭でその力を披露し始めていた。
「天斗の雷槍、すごいね!」
「風花の風琴も美しい……。」
周囲の歓声が響く中、襷はただ見つめることしかできなかった。
「僕にふさわしい神宝なんて、本当にあるのかな……。」
襷は落ち込んで、学園の裏庭に向かった。
神秘的な出会い
裏庭の大きな御神木の前に立つと、静かに風が吹き抜けた。その中で、どこかから微かな声が聞こえた。
「ここに来たのは、お前が初めてだ。」
驚いて振り向くと、そこには白い衣をまとった女性の姿があった。彼女の手には古びた巻物のようなものが握られている。
「君は誰?」
襷が尋ねると、彼女は微笑んだ。
「私は、この神宝を見守る者。お前に託すべきかどうかを試す。」
「僕に……?」
襷は戸惑いながらも、その巻物に引き寄せられるように手を伸ばした。
「この神宝は『縁結びの巻』。人と人、心と心を繋ぐ力を持つ。」
「でも、僕なんかに扱えるかな……。」
襷は不安を口にしたが、女性は優しく首を振った。
「お前にはその素質がある。試練を乗り越えれば、それが証明されるだろう。」
試練の開始:縁を繋ぐ力
巻物を手にした瞬間、襷の周囲が不思議な光に包まれた。そして、目の前に現れたのは、学園の中で一度も話したことのない生徒たちだった。
「この試練では、お前がどれだけ多くの者と心を通わせられるかが問われる。」
襷は深呼吸をして、自分の胸の中に沸き起こる不安を振り払った。
「やってみる……みんなと繋がるために。」
襷は勇気を持って、初めて会う生徒たちに歩み寄り、声をかけ始めた。
試練を通じて得たもの
襷は生徒たちの悩みや思いを聞き、それぞれの気持ちを繋げるように努力した。天斗や風花たちも彼の姿を見て協力するようになり、次第に学園全体が一つの大きな絆で結ばれていった。
「襷、すごいじゃない!」
風花が感動の声を上げる。
「お前の力、やっぱり本物だな。」
天斗も認めるように言った。
そして試練の最後、襷の手の中にあった巻物は、輝く光を放ちながら彼に語りかけた。
「お前こそが、この力を持つにふさわしい。」
新たな自信と仲間の絆
試練を終えた襷は、初めて自分がこの学園で得たものの大きさを実感した。
「みんな、ありがとう。」
襷の言葉に、風花や天斗、そして他の生徒たちが笑顔で応える。
こうして襷は、神々の学校での新たな一歩を踏み出すことができた。そして、この先に待つさらなる試練に立ち向かうための絆と力を手に入れたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます