第一章:異世界への扉


入学式当日。襷は初めて袖を通す制服に違和感を覚えながら、指定された駅に向かった。普段使う駅と何も変わらない。だが、掲示された案内板にはこんな文字が光っていた。


「梁山泊神ノ学園 特別入学式会場行き」


「……どこに向かうんだよ、これ。」


疑いながら電車に乗り込むと、車両には襷一人きりだった。いつも聞こえるアナウンスもない。不安と興味が入り混じる中、電車が不意に急加速した。車窓の外に広がる景色が急速に変化し、見たこともない世界が広がっていく。


山々が金色に輝き、巨大な鳥が空を舞い、水面には神殿のような建物が映り込んでいる。「まるで神話の世界だ……」と思った次の瞬間、電車は急停車し、襷は勢いで座席から転げ落ちた。


車掌の声が聞こえた。

「梁山泊神ノ学園、高等部前。終点でございます。」


襷が顔を上げると、目の前には巨大な門がそびえ立っていた。門には、またしても金色の文字でこう書かれている。


「梁山泊神ノ学園 高等部」


「あ、あれ……マジなのか、これ。」


戸惑いながら門をくぐると、そこには、想像を超えた光景が広がっていた。雲間から差し込む光に照らされた広大な校庭。空には龍のような生物が舞い、校舎はまるで神殿のような荘厳な造りだ。そして――襷の前に集まる、一風変わった「高校生」たち。


「あ、人間が来たぞ!」

「こんなひ弱そうなやつが?」

「いやいや、めっちゃ真面目そうだし頭は良さそうじゃん。」


襷を取り囲む「高校生」たち――いや、彼らはただの高校生ではなかった。その目には光が宿り、耳には神々しい飾りが揺れ、どこか人間離れした雰囲気を纏っている。


「……なんなんだよ、この学校……!」


襷の驚きと戸惑いの中、校舎から堂々と現れたのは、白い髪をなびかせた威厳ある男性。


「よく来たな、人間代表。」


彼は、襷を見下ろしながら微笑んだ。


「ここは八百万の神の子供たちが通う学び舎。君は、唯一の人間生徒だ。梁山泊神ノ学園へ、ようこそ。」


その言葉とともに、襷の新しい学園生活が幕を開けた――涙あり笑いあり、そして運命の出会いが待つ日々が。

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