『神ノ学校の奇跡〜八百万の神とひとりの少年〜』

七尾 蓮翔(ななお れんと)

プロローグ:見えない合格通知

冷たい雨が降る冬の日、神野襷(かみの たすき)は、肩を丸めて家路を急いでいた。手には一枚の紙――高校受験最後の結果通知だった。襷の心は、不安と諦めで張り詰めている。


「また不合格だろうな……」


襷は受験した学校すべてに落ち、今や家族からも「ニート確定」と心配される日々。自分では必死に努力したつもりだった。それでも結果は裏切るばかりだった。


家に着くと、玄関先に見慣れない封筒が置いてあった。封筒には金色の文字でこう書かれている。


「梁山泊神ノ学園 高等部 合格通知」


「……なんだこれ?」


襷は首をかしげた。こんな学校に応募した覚えはない。怪しい詐欺か何かかと疑いながらも、封を切ると、同封されていた手紙にはこう記されていた。


「神野襷様、我が校への入学が正式に決定しました。3年間、特別な環境で学んでいただきます。制服を着用の上、入学式にお越しください。」


制服まで同封されている。襷はしばらく手紙を眺めた後、家族に話すべきか迷ったが、いまさら不合格の話をするのも気が進まない。


「……まあ、行ってみるか。」


突拍子もない展開に半ば呆れながらも、少しだけ心のどこかで「何かが変わるかもしれない」という期待を抱いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る