一、【小一】はなのみち
くまさんが中身の詰まった袋を見つけ、何が入っているのか教えてもらおうと、りすさんを訪ねます。
しかし、りすさんの家に着いた時には、中身は空になっていました。袋に穴が空いていたのです。
春が来るころ。くまさんの家からりすさんの家まで、花の一本道ができあがったのでした。
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小学一年生が国語の授業で初めて学ぶ、ストーリーのある作品です。
とても短い物語ですが、極限まで絞り込まれた文章の中に、しっかり起承転結が展開しています。
本文、上記の要約より短いかも。もはや要約の意味よ。
ラストシーンがとても素敵。可愛らしいお話で、頬が緩みます。
いいなと思ったのは、袋の中身が何だったのか明記されていないことです。だけど、答えはちゃんと導き出せる。
また、くまさんの感情を表す言葉も、本文には一切ありません。それゆえに想像が膨らみます。
創作していて実感することですが、短い話であればあるほど、ひとつひとつの言葉選びの重要性が増すのですよね。
とりわけ小さな子供でもきちんと理解できる物語を書くとなれば、難易度は格段に上がります。
本作は、ただの一文字として無駄のない、誰にでも分かる厳選された言葉で綴られており、思わず唸ってしまいました。美しさすら感じるほど。
易しい文章、優しいストーリー、あたたかな気持ちを呼び起こす結末。
物語の基礎の詰まっているお話だと思います。
作・岡信子『はなのみち』 光村図書『こくご一上 かざぐるま』 2022年発行版 p.32〜39
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