うちのおじいちゃんの話

家族全員でバケツリレー

　風呂場の側溝の蓋を開けて、その中に例の物を隠したりするうちのおじいちゃん。

　最近では介護保険で無料オムツなんですが、それが上手く一人ではできないようで、トイレの中に何回もそのオムツを落としてはトイレを詰まらせ、水を溢れさせて、床をビショビショにしています。

　そんな初めの頃は父に言えばカンカンに怒って、ラバーカップを派手にというか水が溜まりに溜まって溢れて、それをやる度にビシャン、ビシャン床にその水がこぼれるという中、水の量がすごかったし、水が止まらなかったので近くの流しや風呂場に水をこぼすのも汚かったので外のどぶに捨てる為、家にあるバケツや鍋を使い、その水を運ぶ為のバケツリレーをしました。

　父はトイレの水をバケツに入れる係。

　私はそれを受け取り、外の階段を下りて、どぶに捨てる母に渡す係。

　一番損なのは母。

　それを何往復かして終わった！　と思ったら、また後日詰まらせるおじいちゃん。

　そして、トイレが流れなくなったのを言わないおじいちゃん。

　それを発見する私、そして何故かそんなトイレの時だけやる気になる父。

　だからか、ラバーカップ担当の父は派手にやる。

　床も父がやるとビショビショ広範囲。

　やったぞ！　俺は！！　感を出したいのか、後片付けしないから気が大きくなってしまうのか。

　この前、そんな父が家に居なかった時、私が母に突然呼ばれて代わりにやることに……。

　いや、これいつもオムツが原因でつまるんだから――と、ええ、また私は手でやりましたとも！　今度は素手！！　この家に挟む物は、トングか何かないのか！！　ってなりながらもやりました。

　あ、あそこにビニール手袋がある！！　って思っても、その長さじゃ使えない！　だったので。

　そして、母もバケツを用意し、早くやらないと水がまたこぼれる！！　と怒りながら、普通にトイレのあふれる水の中にその手を何の躊躇もなく突っ込み、用事があって時間がなかったからってね、私と一緒にその原因となっている水で膨張して真ん丸になって重たくなった引力がトイレの穴の方に引っ張られ続けてるのに水が出っ放しになってるオムツを頑張って引っ張り上げました。

　重いし、臭いし、ゴミ袋入れて捨てて来いと母に言われ、捨てに行って、トイレも綺麗にしとけと言われ、オムツから出た透明なゼリーをトイレの中から拾い集めて捨て、床も水でビショビショになって新聞紙何枚もやったり、私の履いてたスリッパはその水が少し沁み込んで来てもう履けなくなり、何なんだよ……ってなりながらも全部片付けたら、父がやった時よりは床はビショビショにならずに済んだし、どうしていつもあんなにビショビショになるのか不思議なくらいで、帰って来た母も床についてちょっと文句を言って来たぐらいで、どうにかなって良かったなと思いました。

　もうおじいちゃんだって何回目か分からないくらいやってるんだから早々に言ってほしいなって思いますが、黙ってる所を見ると失敗しちゃったな……と思っているのか、ありがとうもないから母の機嫌が悪くなるのを感じているのか、分からないですが、介護は大変だなと思った次第です。