成績が悪い俺に見かねた両親が家庭教師を雇ったらその家庭教師が好きな人だった件
赤岡伊織
第1話 家庭教師の話
俺はこの日ただただ戦慄した……
それは、なんと……俺の期末テストの点数が数学を除いて全て0点だったのだ……
俺はその事実に何度も阿鼻叫喚して、しまいには先生に職員室に呼び出されてしまった。
俺の名前は立原拓海……勉強は普通に0点を連発するくらい出来なくて、運動神経はそこそこいい……そんな高校生だ……
「ここに呼び出してなんでしょうか先生?」
「なんでしょうかじゃないだろ!!」
先生はずいぶんご立腹なようだった。
別に点数が悪くたって良くないか? なんで先生というものは生徒が悪い点数をとると怒るんだ?
本当に意味がわからん……
「おい! お前この点数はなんだ? 何をどうしたら数学以外0点なんて取れる?」
「いやいやいや、俺だってそんなのわからないですよ……」
「はあ!? お前なー! このまま行ったら留年になるんだぞ! ちゃんと危機感持ってるか?」
「危機感ね……はいはい、持っていますよ待っています……」
俺は先生にこのままじゃ留年になると言われてマジでビビる……
「はあ……仕方ない……先ほど、お前のご両親にも相談したが、お前には家庭教師をつけることにした……」
「はあ!? 先生あんたにそんな権限ありませんよね? 先生は俺の親でもなんでもないんですよ!」
「あのな……これは俺の判断じゃなくお前のご両親の判断だ……勘違いするなよ……」
「俺の親がそんなことを言うはずがない……! そんなでまかせ言ったって無駄ですよ!」
「だったら直接聞いてみるがいい! ほら! 今から電話かけてやるから!!」
先生は俺の母親の電話番号を打って、電話をかけて、電話をかけ始めた。
「ほら立原! お母さん出たぞ!!」
「もしもし?」
俺は先生から電話の受話器を受け取り、母親と電話を始める。
「あんた聞いたわよ! 数学以外0点取ったらしいじゃない……!!」
「いや、あのな……数学は0点取らなかったんだからむしろ褒めて欲しいよ!!」
「バカ言ってんじゃないよ!! この大バカもの!!」
「なあ、母さん……家庭教師の話って嘘だよな、先生が口から出まかせ言ってるんだよな?」
「嘘じゃないわよ! あ、ちなみに急で悪いんだけど家庭教師の先生明日来るみたいよ!」
「……はあ!? 家庭教師の話本当!? しかも明日来る!?!?」
バカな……先生と母親が家庭教師の話をしたのは今日のはず……だってテストの答案用紙を配られたのが今日だから……
家庭教師ってそんなに急に決まるものなのか?
俺、頭がすげー混乱してきた……
「まじかよ……そんなのありかよ……」
「だろ? だから言ったんだ! 立原! お前今回ばかりは仕方ないと思って素直に受け入れるんだ! 立原が今まで勉強してこなかったツケが回ってきただけだ……!!」
俺は母親との電話が終わり、先生に受話器を返すと、先生が呆れた顔で正論を物申してくる。
正直すげー腹立つが……言ってることはごもっともなので俺は何も言えない……
「それじゃあ明日からの家庭教師との勉強頑張りたまえ!!」
先生は言いたいことを言ったのか、俺に帰っていいと促してきた。
俺は職員室から退出した後、教室に通学バックを取らないく際、気だらけな様子で教室に向かってゆっくり歩いていた。
「はあ……なんだよ全く……家庭教師って……めんどくせえな……」
「どうしたのそんなしょんぼりして?」
俺がしょんぼりしながら歩いていると、一人の女の子が話しかけてきた。
この子は俺が中学生の頃から同じ学校で顔見知りな俺の好きな人である大西檸檬といって茶色のロングヘアが肩まで伸びていて、可愛くて、優しくて、いい匂いがして……そして何より胸がでかい……
俺は中学生の頃から彼女を見ていて、彼女の立ち振る舞いからすっかり彼女の虜になってしまったのだ……
「それがさ……点数が悪くて先生に怒られちゃったんだよ……」
「ハハ……それはとっても大変だね……」
「なんか今の俺カッコ悪いよな……」
「別にかっこ悪くなんかないよ! だって体育の授業の時立原くん、誰よりも一生懸命やってるじゃん!! それをもっと勉強に活かせばいいんだよ!! 大丈夫だよ! まだ巻き返せるから私応援してる!! じゃーね!! また明日立原くん!」
彼女は笑顔を振り向いて職員室の方に向かって歩いて行った。
…………俺は今の話を聞いて叫びたい気持ちでいっぱいになった。
大西さん好きだって……
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成績が悪い俺に見かねた両親が家庭教師を雇ったらその家庭教師が好きな人だった件 赤岡伊織 @akapen3
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