第2話『マナの法則』
王立魔法学園の研究棟の一室。霧島は持ち込んだ量子測定器を広げていた。ガラス張りの実験室からは、学園の壮大な中庭が見渡せる。そこでは、学生たちが日常的に魔法の練習を行っている。
「よし、準備完了。リリアさん、お願いします」
リリアの詠唱が始まる。彼女の手から放たれる光の球。霧島の測定器が反応を示し、複雑なデータが画面に表示される。
「これは...!まるで量子もつれのような...」
測定器は未知の素粒子の存在を示していた。しかもその挙動は、量子力学の法則に従いながらも、明らかに既知の素粒子とは異なる性質を持っていた。
「これを"マナ粒子"と名付けよう。魔法の本質は、このマナ粒子の制御にあるのかもしれない」
熱心に記録を取る霧島。しかし、その姿を廊下から冷ややかな目で見つめる者たちがいた。古参の魔法貴族たち。彼らにとって、魔法を科学的に解明しようとする試みは、神聖な伝統への冒涜に他ならない。
実験を重ねるうちに、新たな発見が。マナ粒子には、意識による影響を受けやすい特性があった。それは量子の観測問題に似ているが、よりマクロなスケールで作用する。
「これが、魔法使いの意思で魔法をコントロールできる理由...!」
その時、実験室に一人の老紳士が訪れる。シルバーウルフ学院長だ。白髪の長髭をたくわえ、モノクルを光らせながら、彼は霧島の研究に深い関心を示す。
「興味深い研究だ、霧島君。しかし、気をつけたまえ。科学と魔法の境界に踏み込むことは、時として危険を伴う」
学院長の警告は的中した。その夜、霧島の実験データが何者かに狙われる事態が発生。世界線観測能力が警告を発する中、霧島とリリアは何とか重要なデータを守り切る。
「霧島さん、あなたの研究は確実に誰かの神経を逆なでしているわ」
リリアの言葉に頷きながら、霧島は決意を新たにする。
「でも、止めるわけにはいきません。この研究は、必ず両世界の助けになる」
そして、マナ粒子の研究は新たな段階へ。霧島の世界線観測能力と、マナ粒子の性質には、何か深い関連があるはずだった。
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