補足

 現在の研究では無数のギャルが解き放たれた瞬間がギャルビックバンの始まりとされている。唐突にして巨大にして無数のエネルギーの出現。それがどうやって発生したかは我々には知る由もないが、常にハイテンションで連日遊び回るギャルが存在することから考えると、ギャルがエネルギー保存の法則を無視しているのは明白であり、埒外の超常現象を引き起こしても全く不思議ではない。何にせよ、我々の存在するこの宇宙が膨張し続けているのはひとところに留まることの出来ない無数のギャルたちが宇宙を常に押し広げているからなのである。

 

 ちなみに、ギャルビックバンと命名したのは、ギャル神話学の第一人者であるギャルスキー・ダイスキーネ博士である。ギャルスキー博士とその一族はギャル研究に多大なる貢献をしている。また現在は如月女粋(きさらぎじょすい)博士も様々な新説を打ち出しており、ギャル研究は時代と共に更に深みを増している。

 

 昨今では様々な新興ギャル宗教の誕生により光が善で闇が悪であるという風潮や、逆に光は偽善であり闇こそが真のギャル宇宙の本質であるなどという説がまことしやかに囁かれているが、このような風説は新興ギャル宗教の人気拡大の為のわかりやすい方便であって、白ギャルと黒ギャルは光と闇、善と悪といった風な二元論では語ることの出来ない存在であるということを理解して頂きたい。

 また、原初のギャルが最上のギャルであるといった風な説もあるが、原初のギャルは全にして一なるギャルであり、全てのギャルの頂点に立つ唯一ギャルというわけではない。我々人類が順位づけをされるのを嫌うように、ギャルもあいつよりそいつが上とかそいつはあいつより下とかいう序列を決めるのを嫌うということはわざわざ語るまでもなく自明の理である。


 ギャルは自由にして奔放な存在であり、素直にして聡明な存在である。

 

 全てのギャルは平等であり、誰が上などという概念を当て嵌めることは出来ないのである。

 かつて原初のギャルを見たと言った十二人のギャル見習い修道士の一人、ロンバルディア・ギャールスハイムは、sayギャル教典にこう書き記している。


「あなた方もまた、ギャルである」


 たった一言でありながら、なんと含蓄に満ちた言葉であろうか。我々もまたギャルなのである。

 このようにギャル教典から我々が学ぶことは多いが、それを紐解く前にまずは我々人類がどのようにして誕生したかについて語る必要があろう。それについて次項で神話を綴らせて頂く。

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