第4話 磐城の山城
磐城の山城を守る兵士たちが空を見上げていた。
「おい、今日は太陽がずいぶんと熱いな・・・・」
兵士たちは左手に持った武器を下げつつ、右手で直射日光を避けながら太陽を見上げていた。
そこを、上空を小さな三角形の影が横切った。
「あれ、鳥か?」
なおも兵士たちは上空を見つめていた。何か普段と違う違和感があったからだ。不思議なことに太陽の真円がだんだんと近づいているような感じがしていた。
「まさか、太陽が降ってきたんじゃなかろうか・・・・」
兵士たちの疑問は明らかになることはなかった。兵士同士の会話が終わるのを待たずに、上空から降りかかった溶岩の巨魁が城を直撃。兵士たちは山頂の一角もろとも気泡となって消え去ったのだった。
大ガラスには三本の足があり、くちばしを含め、四つの溶岩弾を同時に運ぶことができた。大ガラスにより高空に運ばれた四つの溶岩弾は、山城の兵士たちを次々と吹き飛ばしたうえで、城内の地面にめり込んだ。城内に残置した溶岩弾から発せられる激しい熱は、城内の建物に火災を発生させ、城壁を溶解させ始めていた。
山頂の山城は地獄絵図と化していた。それでも生き残った兵士は勝機を求めて、反撃体制を取ろうとしていた。
その磐城の兵士に今度は、大揺れが襲った。山城は崖の上に築かれているが、その崖の岩肌に巨大熊が何度も突進を繰り返し、山体ごと揺らしていた。次第に、山城は土台となっていた土台ごと崩壊し始めた。
その様子を大ガラスは遥か上空から見つめていた。
大ガラスは北陸方面軍の陣地に着陸し、変幻の術を解いた。煙の中から現れたのはオトスズヒメであった。
オトスズヒメはサイナギノミコトの出迎えを受けた。
「どうだった?戦況は?」
オトスズヒメはサイナギノミコトから受け取った紐で髪を結いながら答えた。
「東海方面軍の熊が攻撃するなら、北陸方面軍の私が出る幕などなかったね」
サイナギノミコトはオトスズヒメの目のあたりをちらりちとみた。オトスズヒメが変幻する際、目の周りに紅で隈取を加えることがあった。これは術の力をより高めるためのものであったが、サイナギノミコトは内心、その隈取をした姿が可愛いと思っていたのだ。
「どうしたの?さっきから」
「いや、なんでも」
北陸方面軍と東海方面軍がちょうど磐城国で合流したところであった。結果として、岩城の豪族は挟み撃ちとなり、二体の巨獣から挟み撃ちを受け、この世から瞬殺されたのだった。
なお、この地がのちのち「
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