第15話

再度里穂の携帯が震えた。

俺は中田を迎えに代々木駅まで向かった。





「やあ。中田くん」



灰色の長トレにジーンズ。

ポケットに手を突っ込んだまま貧乏ゆすり。

そわそわ辺りを見渡しては溜め息をつく挙動不審の男を見つけると俺は右手をあげた。



人目でそいつが中田ってわかったから。



「…お前………!blue eyesでNo.1のホストじゃねぇかよ…!」


「へえ」



中田はどうやら俺を知っているみたいだな。

だが、今はそんな事どうでもいい。



「乗って。早く里穂に会いたいでしょ?」


「チ………ッ」



中田は舌打ちをすると早くしろ、と言って助手席に座った。




「シートベルトして」



俺は車のエンジンをかけるとアクセルを踏んだ。




ミラーに映る中田。



見れば見る程に里穂には不釣り合いだ。



こんな素朴な男が里穂の彼氏だなんて。

―――…絶対に許せない。






「着いたよ」



自室のドアを開けるとベッドで眠る里穂の姿があった。



「里穂、起きろ!」


俺は眠っている里穂の頬を何度か叩いた。



「…ぃ………ん……」



里穂は眉間に皺を寄せながら眠そうに薄く目を開けた。


そして、こちらに視線を向けた瞬間固まった。



「あ………」


「………お前…!」



俺の背後に突っ立っていた中田が口を開く。



「…………っ…中田く…!」


「どういう事か説明しろよ」



「痴話喧嘩はソコまでにして」



「うるせえ!犯罪だぞ!サキヤ!」




「ふ。咲夜は店名でしょ。いいから静かにしてよく聞いて」



俺は里穂に視線を落とした。




「今日はね、3Pをしようと思うんだ…」

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