君はきっとヒーロー
@kanashineko
(1) 計画
はあ 僕はなんて可哀想な奴だろう
「おいおい、もうこいつなんにもしゃべらなくなっちまったよ!!」
「お前が腹に蹴りばっかするからだろ!」
そうさ、お前らが僕の腹に蹴りばっかするから
痛くて声すら出せないんだよ 死ねばいいのに
「もう飽きた」
「あっ!そうだよなゆー?!ねえゲーセン行こうぜ!!俺まじ上手いからっ」
「優くん困らせんなバカ、はいはい帰ろー」
「じゃあな〜!泣き虫の
依吹 哭(いぶき こく)くん」
...やっと終わった 口切れてて痛いな
はあほんと最悪 次お金渡さないと殺されるかも
まあいいか 死にたいし
それより今日はするのかな やだな..
早く戻って来る前に帰らな
「ガタンッ!!!!!」
教室のドアが勢いよく動いた
「あ..優くん...」
「早く立てよ、俺んち来い」
もっと最悪 そう彼は僕を玩具としか
思ってないんだよ そんなことを考えていたら
彼の家に着いてしまった
冷たい目線で家にあがれと呼んでいる
いつも通り衣服やクシャっとした紙が
散らばっている いつも通り薄暗い部屋へ腕を
引っ張られて 彼はベッドに僕を投げた
「っ..!!」
蹴られた腹が痛くて 涙目で彼を見上げた
睨みつけた ほんとムカつく
そしたら彼は何て言ったと思う
「はは、哭って誘うの上手いな」
くすぐったく肌をなぞる冷たい手
声が漏れないよう 手を抑えて我慢した
だけど手をどかされて キスをされた
熱くて何も分からない 薄暗い部屋に
絡む舌が 音を立てて響く
「んんっ ふ は あっ」
惨めな僕の声も響いた
死にたい 死にたい 死にたい 死にたい
男に犯されて 気持ちよくなって バカみたい
こいつもおかしい 僕とセックスまがなことして
気持ちよくなってて 気持ち悪い
「あっ ま それっ あ ああ っあ!!」
ぼやける意識の中 か細い声が聴こえた
「..きだ すき 好きだ...」
──────ああなるほど 彼は 僕が
僕は面白いことを思いついた
君はきっとヒーロー @kanashineko
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