第2話 キャラクリエイト

『バーチャルモンスターオンラインをご購入頂きありがとうございます。早速ですが、バーチャルワールドで活動するためのアバターを作成します』


 ゲームが起動すると、真っ白い空間に飛ばされていた。どうやらここではアバターを作成するらしい。

 目の前に現れたウィンドウにはVR機器を購入した際に設定した現実世界の僕の姿が映し出されている。これを基準に作成しろということなのだろう。


 バーチャルモンスターオンラインでは、プレイヤーは戦闘力を一切持たない。だから、アバターがゲームの有利不利に影響することはない。

 公式からは現実世界と同じ性別と体格が推奨されているが……。


「ええと。どうせプレイするなら、カッコいい見た目にしたいよな……」


 美少女。異種族。美少年……etc.

 いろいろな主義主張があるだろうが、僕は自分の分身となるプレイヤーキャラは超絶イケメンの方がテンションが上がるタイプだ。


「まずは身長を5センチ盛って……年齢も若く……顔ももっと盛って……」


 アバターに関しては異性の姿にしたりネタに走ったりといろいろあるだろうが、僕はカッコよさを追求するタイプである。

 30分ほどかけて、黒髪美形青年という渾身のアバターが完成した。


「これが僕? いいね。テンション上がってきた」


 アバターの作成を完了すると、次に注意事項が表示される。


【重要】ゲーム利用に関する注意事項


 このゲームはフルダイブ技術を使用しており、プレイヤーの思考および感情を読み取り、ゲーム内体験の向上およびシステムの最適化に活用します。以下の点についてご理解・ご同意ください。


・思考および感情の読み取りについて

 本ゲームでは、プレイヤーが感じる喜び、恐怖、緊張などの感情データおよびプレイ中の思考パターンをリアルタイムで読み取り、ゲーム内に反映します。このデータはプレイヤーごとに匿名化され、安全に処理されます。


・プライバシー保護について

 読み取られたデータは、ゲームプレイ体験を向上させる目的以外には使用されません。個人を特定可能なデータが第三者に提供されることはありません


・データ使用の同意

 ゲームを開始することで、上記の条件に同意したものとみなされます。詳細な情報については、[利用規約]をご確認ください。



 注意: 本ゲームの技術は常に進化を続けており、アップデートに伴い条件が変更される場合があります。最新情報をご確認ください。



「はいはい同意と……」


 僕の思考がゲームに反映されるか……。一体どんな風になっているんだろう。まぁ、バーチャルモンスターのアニメ版をすべて視聴した僕からすれば、なんとなく予想はつくけれど……。


『それでは最後に、プレイヤーネームを決定してください』

「オッケー。ええと……」


 プレイヤーネームは昔からずっと使っているものがあるので、それを使わせて貰う。


『エリスロですね。了解いたしました』


 小学生の時から使っていた愛着ある名前で登録をした。大学生の頃もこの名前を使って、バチモンの対戦実況動画を投稿したりしていた黒歴史もあるが……まぁ覚えている人なんていないだろう。

 当時の大手だった『ニチャニチャ動画』も閉鎖されたし。


『お待たせいたしました。これにてキャラクタークリエイトは終了となります。新人テイマーエリスロさん。どうぞ、バーチャルモンスターオンラインをお楽しみください』


 そんなガイドメッセージを読み終わるやいなや、俺の体は再び光に包まれる。

 そして、次に目が覚めたとき。俺はバチモンワールドの小さな島にいた。



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