城ノ内弓子の事件簿

モンステラようこ

事件1-1復讐するまで逝きません

ドンッ!!


えっ嘘。今、私の車に子どもがぶつかってこなかった?

どどどどどどうしよう。私、人轢いちゃったのかしら。と、とりあえず生死の確認から先だわ(めちゃくちゃ恐いけど((( ;゚Д゚))))


ガチャ(車を降りる音)。


ああ、やっぱり。女の子が倒れてる。9~10歳くらいか?頭からこんなに血が出ちゃってる。

「だ、大丈夫?ねえ、君、」

どうか、死んでませんように。目を閉じたまま、呼びかけにも応じない。脈は?

と、と、止まってる!

わ、私人殺しになっちゃった。よりによってなんで夜中の12時に子どもが一人でこんな暗い夜道歩いて…。

「お姉さん、私が見えるんだ。」


えっ?


今、誰かしゃべらなかった?

「ここ、ここ。お姉さん下見て。」

視線を落とすと、さっきまで目を閉じてた死体の目が開いてる。

な、なんだ。生きていたんだ、良かっ…

「いや、私死んでるよ。お姉さんが今見てるのは、幽霊の私。」


「ゆ、幽霊!?大人をからかうんじゃないわよ。とにかく、血が出てるから、早く病院へ…」

「無理よ、そんなの。だって、お姉さんにしか見えてないんだから。」


子どもの冗談に付き合うほどこっちは暇じゃないんだけど。全く、親の顔が見たいもんだわ。

「君、お母さんはどうしたのよ?一緒じゃないの?」


「お母さんは、私が死んでから毎日泣いてる。一緒にいるのに、気づいて貰えないの。」


「お芝居はもう終わりよ。お母さんの電話番号教えて。」

電話で事情を説明して、とりあえず病院へ連れて行かなきゃ。

「いいよ。番号言うね」

「君の名前もよ。」

「私の名前は、湯川ありす。生きていたときの名前だけど。」

無視して、教えてもらった電話番号に直ぐ様電話した。

「もしもし、湯川さんのお宅でしょうか。私、城ノ内と申します。夜分にすみません。●●駅付近の道で、誤ってお宅のお子さまに怪我をさせてしまいまして。」


〈…誰のお話をなさってるんですか。〉


「え?あ、あの、お宅のお子さんの湯川ありすちゃんのことで。」

〈娘は一年前に亡くなりました。嫌がらせでしょうか?訴えますよ。〉


電話口に轟く怒声。

ガチャン

電話が切られた。

一年前に、死んだ?

「そう、この場所で、交通事故。ってことになってるんだけど、実は違うの。私、殺されたのよ。ある人に。」


待って。嘘でしょ。私、今、幽霊と会話していたってこと?


「ぎゃあああああ」


「ちょっ、ちょっとお姉さん、こんな時間に近所迷惑!」

「こ、こないで!幽霊なんか嫌い。悪霊退散!」

「もう! 私のどこがそんなに恐いのよ。こんなに可愛いのに。」

頭から血を流しながら、それ言う!?

「お姉さん、見えてるついでに頼みたいことがあるの。私の復讐の手伝いをして貰えないかな?」


これが、彷徨える魂、湯川ありすと、私、城ノ内弓子との運命の出会いだった。












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