第2話 近所の老夫婦の定食屋

 オレは海人くんをとりあえずスーパーから一緒に出る。見守りのために彼の家まで連れて行ってもらう。


 海人くんと空くんの家庭は母子家庭。母親は毎晩遅くまで仕事らしい。オレは海人くんと話しながら家に到着。中から可愛らしい空くんが出てくる。


「空、ただいま」


「初めまして。お兄さんの名前は本田直人だよ」


 けれども、まだ小学一年生の空くんは恥ずかしさからか、あるいは警戒心からか、挨拶をしない。


「子ども食堂は遠いなぁ。近所の定食屋に行こうね」


 オレがそう言うと、海人くんはよろしくお願いします。空くんはお兄ちゃんに手を繋がれて三人で定食屋に行った。


「おじちゃん、おばちゃん。こんばんわ~」


「あれま、直人じゃないか。その二人は誰だい?」


「実はな……」


 オレはおじちゃんとおばちゃんに話をした。


「そう言うことかい。タダでご飯を作ってやるよ」


「ありがとう。おじちゃん」


「え? 良いんですか?」


「良いんだよ。海人くん、空くん」


「あ、直人はお金は貰うわよ?」


 そこで、空くん以外のオレたち四人は笑った。


「あ、そうだ。海人くん、連絡先を聞いても良いかな?」


「はい。良いですよ」


 空くんは可愛らしいけれども、相変わらず無言だった。

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親子の笑顔 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

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