親子の笑顔
野口マッハ剛(ごう)
第1話 ゲートキーパー×ヤングケアラー
春だ。夕方のスーパーへ行く道。
オレはフリーターの十九歳。大学は行かなかった。何でだろう? 何となく行かない道を選んだ。
図書館等でゲートキーパーと言うチラシが目に入りインターネットで調べた。ゲートキーパーは命の門番と言う意味だ。自殺予防を地域で担うボランティアみたいなもの。オレはゲートキーパー養成研修を受けて受講証を持っている。そこから福祉にちょっとだけ興味が湧く。今からでも福祉の学校に行きたい気分である。
スーパーに到着して今日の晩ごはんの食材を探す。野菜を摂らなきゃ、だよな。
あ、今日も居る。制服を着ている男子中学生。来る日も来る日も、夕方のこの時間帯に一人で買い物をしていることをオレは知っている。
ヤングケアラー? 違ったら謝れば良いから、今日は声をかける。
「急に話しかけてごめんね? 君はヤングケアラー?」
「え? ヤングケアラー? ヤングケアラーって何ですか?」
男子中学生は驚いた表情をしている。そりゃ、そうだよな。
「えっとね? 親の代わりに家族の世話とかしてないかな?」
「あ、はい。母親の代わりに幼い弟の世話を見ることもあります」
やっぱりな。
「オレは本田直人、ゲートキーパー。相談なら乗るよ?」
「あ、ありがとうございます。ボクは佐藤海人です。中二です」
「弟さんは、いくつかな?」
「弟の空は小一です」
ヤングケアラーは家族の世話や介護を当たり前だと思っている人も居る。こうやって、地域での見守りも必要なんだよな。
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