第2話 待ち構える
「ラック、昔の話だし、お前はあの時の事を知ってるだろ?
今更どんな顔をして会えばいいんだよ。」
「お前なら大丈夫だ!」
「斬られたらどうするんだ。」
「その時はその時だ!」
「おい!ラック!」
「カズキの兄貴、英雄に斬られるって何があったんです?」
「ルーカス、それは人に話すような事じゃ無い、聞くんじゃない。」
「兄貴が斬られるような事って、いったい?」
「聞くな、おいラック、その依頼は断るぞ。」
「ギルドマスターからの強制依頼とする。」
「くっ!きたねぇぞ!」
ギルドの強制依頼を断るとランクを一つ下げられるリスクがある、俺のランクはCであり、今更下げられるともう一度Cに上がるまでどれぐらいかかるかわかった物ではない。
「まあちゃんと報酬は出すからな、安心しろ。」
「安心出来るかよ!」
「Sランク冒険者が今更お前を斬っても何の利益も無いだろ?」
「そう思うなら他の奴に依頼しろよ。」
「・・・カズキ、俺はお前を信じているんだ!」
ラックは俺を見てはいるが長年付き合いのある俺達だ、その目は隠し事をしてある事が分かる。
「おい、ラック今目が濁ったな、何を隠している?」
「そんな事は無い、頼んだぞ!」
ラックは猛スピードで逃げて行く。
「くっ!押し付けやがって・・・」
俺は逃げるラックを苦々しく睨見つけるのだった。
当日・・・
「カズキの兄貴、緊張しますね。」
「ルーカスなんでお前も待ってるんだ?」
「そりゃ会ってみたいですし。」
「いざとなればお前を盾にするか。」
「怖い事を言わないでください、Sランク冒険者相手に盾になれるわけ無いでしょ。」
「頑張れば何とかなる・・・って来たか。
ルーカスいざとなればちゃんと逃げろよ。」
ギルド前に地方都市では見れないような豪華な馬車が止まる。
そこから降り立つのは英雄となったリリィの姿であった。
「・・・見つけた。」
ギルド前で出迎えていた俺とラック、ルーカスの方をリリィは見つめてボソリと呟く。
それと同時にリリィは一気に間合いを詰めてくるのだ。
「やばい!何をしているルーカス俺から離れろ!
リリィ斬るなら俺とラックだけにしろ!」
間合いを詰めてくるリリィに対して俺はルーカスを横に押す。
「兄貴!!」
急に押されたルーカスは床に倒れる事になるがリリィの剣の間合いからは逃れたと思う、俺は無関係なルーカスを助けれたことに安堵する。
そして目を閉じ、諦めに似た気持ちでリリィの剣を待つのだが・・・
「会いたかったです。」
待っていたのは俺に抱きついてくる少女の温もりであった・・・
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