しりたがりのうまがたり

6. まめちゃん：ウォッカとダイワスカーレットの血を引くひ孫娘は頑張ってます

　2023年1月9日、スカーレットテイルの2023——初仔として生まれた、2025年の年明けには2歳になる鹿毛の牝馬（女の子）です。

　幼名、まめちゃん。

　その名前のとおり、誕生時の体重はわずか30kgそこそこと、かなり小柄で生まれました。

（平均的なサラブレッド仔の誕生時の体重は、50〜60kgあたりと言われています）

　父タニノフランケル、母父ハービンジャー、母母ダイワレジェンド。

　そうです、血統に詳しい方はピンとこられたと思います。

　お察しのとおり、まめちゃんのお父さんは、2007年に64年ぶり牝馬で日本ダービーを制したG1・７勝の女傑ウォッカの息子です。

　つまり、まめちゃんは、現在yogiboヴェルサイユリゾートファームで養老生活を送っている国内最高齢ダービー馬、タニノギムレットのひ孫でもあります。

　そして、まめちゃんのお母さんスカーレットテイルは、名前のとおり、スカーレット一族のお嬢様。

　ウォッカの最強ライバルと謳われた名牝ダイワスカーレットもまた、まめちゃんから見て、ひいおばあちゃんと言うわけです。

　父方にタービー馬の血筋、母方はスカーレット一族とダイワ一族が、後方で腕組みしている良血オブ良血という、牡馬（むすこ）でも牝馬（むすめ）でも夢は詰まってる浪漫配合、それがまめちゃんなのです。

　とはいえ、血統ベースで吟味すると未知数で読めん。ぶっちゃけ、よう分からん……というのが、おそらく馬産関係者のシビアなジャッジになるのだろうと思われます。現実は厳しい。

　そして、実際のところ、競走馬として大成するには、まめちゃんはあまりにも小さいのです。

　まめちゃんの誕生からその後の成長を見守ってきた牧場関係者及び仔馬カメラFCさんも、その点は大変に気に病まれていらっしゃいました。

　初めから、乗馬として他所のクラブに譲渡することも検討されたそうですが、手放してしまうと、正直その後が追えません……。

　そして、生まれたまめちゃんはフレームこそ小さいですが、元気いっぱいで、飼い葉を食べられるようになると、テイルママとごはん戦争を繰り広げるほど負けん気が強く、もりもり食べてよく寝てよく走り、夜間放牧時も離乳後も、放牧地に侵入してきた鹿の群れにも怯えるどころか余裕で爆睡決め込むくらい、どうやら気の強さと鋼のメンタルを併せ持っているらしい強い仔のようです。

　まめちゃんを支援している仔馬カメラさんの配信で、その後、まめちゃんの成長と可能性を見込んで競走馬デビューを目指す方針となったことが明らかにされ、そこから中期育成を経て、現在、競走馬としてのトレーニングを順調に積んでいるとのこと。

　先日、12月10日頃だったかと思いますが、仔馬カメラさんから出された情報によると、馴致（じゅんち）も順調のようです。

　人を乗せた輪乗り訓練時の動画が久しぶりに公開されたので、早速チェックしに行ったのですが、まめちゃん、先頭ですごく頑張ってました。

　やはり、同じ訓練生の他馬と比べると一回り以上小さい馬体ですが、暴れたり嫌がったりはしないけど力強さはある——そんな印象で、とねっこ特有のパヤパヤした毛に包まれてる頃から見守りしている身としては、この時点で涙腺が緩む……。

　ヤバい。

　まめちゃん、超がんばってる。

　まあ、馬格が小さくてもゴリゴリに走って実績上げている競走馬も実際にいるので、馴致が順調なのであれば、ひとまずは過度に心配することはないのかもしれません。

　仔馬カメラさんもファンクラブを立ち上げて、まめちゃんの引退後も引き続き所有馬として面倒を見る方針を固めておられるので、一般素人があーだこーだいう必要はないのです。

　ちなみに、この仔馬カメラFCは一応会員制なのですが（動画配信は誰でも見ることができます）、最安値プランだと月額税込990円から支援できるサブスク体制を整えておられます。

　さすが、イマドキ。

　時代も令和ともなれば、予備知識のない一般素人でも気負わずに仔馬たちの寝藁（ねわら）になることができるのです。

さらに余談ですが、仔馬カメラさんは前述のヒュミドールも支援している引退馬支援カメラさんと同じところで運営されていたりします。

　ほぼ毎日、仔馬たちの成長をライブ配信されておられた仔馬カメラさんですが、この一年、その配信を中止せざるを得ない事態に見舞われたりと大変なご苦労をなさっているので、その辺りも、おいおい差し支えない範囲で経緯を書いていけたらいいなと思っています。