大手Vtuber事務所に所属したけど、周りの個性が強すぎて上手くやっていけるか不安です。
ましろ
第1話デビュー配信
「ふぅ…落ち着いて、練習通りに話せば大丈夫…」
自分にそう言い聞かせ、私は震える手でマウスを握る。緊張しないわけがない。なぜなら、今日は私、『星月綾華』が『Re:Live!』の二期生としてデビューするからである。
『Re:Live!』とは、一期生の4人で国内トップクラスになったVtuber事務所である。私はその一期生の輝いている姿に魅了され、気づけば自分でも驚くほどのめり込んでいた。そんなある日、一期生のコラボ配信の中で、「そういえばお知らせ‼︎Re:Live!の二期生募集があるから、みんな応募してみてね〜」という驚く告知がされた。その配信が終わった後、私はすぐに応募していた。
正直全く受かると思っていなかったし、むしろ面接すらいけるわけないとまで思っていたくらいだ。しかし、予想とは裏腹に、私はいつのまにか書類選考を突破し、面接まで進んでいた。面接の時なんて緊張しすぎて何喋ったのかわからないのに、なんでRe:Live!は私のなんかを採用したのだろうか…。
「と、とりあえず早く配信つけなきゃ、そろそろツイッターで告知してた時間に近づいて来てるし…」
私はそう呟き、マウスを使って待機中になっている配信画面を開いた。よし、マネージャーさんから聞いてた通りに待機画面を閉じ、画面上に『星月綾華』のアバターを表示させた。少し低めの身長に、腰にかかるくらいの長さの少しふわふわした暗めの青い髪、サファイアのような瞳の美少女、それが『星月綾華』である。アバターを表示させた途端、コメントが結構な勢いで流れている。
コメント
・お、来た来た‼︎
・やっとRe:Liveにも清楚美少女枠くるか?
・今回もイラストレーターがいい仕事してるわ
・トップバッター頑張れ〜‼︎
コメントの流れが早くて長文は読めないが、ビジュアルが良いことや、頑張れなどのコメントが多い。よし、ここで完璧に挨拶をこなしてみせるぞ‼︎
「み、みなさん初めまして、この度は二期生としてデビューさせていただきました、星月綾華と言います‼︎えっと、配信などをしてきたことがないので、わからないところがたくさんあると思いますが、あ、温かい目で見守ってもらえると嬉しいです‼︎」
コメント
・うおおおお‼︎
・すまん、俺この子のパパだったわ
・↑ニキ、それ存在しない記憶や
・トップバッターこの子ってことは後の子達にも期待ができるぞ‼︎
・たまに噛んでるの可愛い
よ、よし、挨拶は完璧じゃないか?確かマネージャーさんに、一人30分程度って言われてたから、コメントからの質問に答える時間にしよう。
「まだまだ時間があるので、質問などがあったらコメントでお願いいたします」
コメント
・パパになります
・↑質問じゃなくてお前の願望だろ
・じゃあまず軽く自己紹介してくれるかな?
・一番尊敬してる先輩は?
・これからやりたい配信とか!
「20歳、Vtuberです。最近まで働いてましたけど、Re:Live!の合格通知を受けたその日に嬉しすぎて勢いでやめてしまいました。尊敬している先輩はですね…正直全員めっちゃ尊敬してますし、全員の大ファンです!なので一番とかはないですかね〜。これからやりたい配信は雑談とかゲームですね。あとパパにはならないでください」
コメント
・ん?
・なんの仕事辞めたんや…
・合格の嬉しさで仕事辞めたVtuberいるってマジ?
・いい子なのはわかった。だが、それだけではない気がしてきた
・Re:Live!が普通の清楚美少女を入れるわけなかった
・最後ww
なんかただの清楚美少女ではないって言ってるコメントも少しあるけど、多分今後の配信で清楚美少女でしたって言うだろう。てか言わせてやる。その後もリスナーさんからの質問に答えていたら、あっという間に次の人の時間が近づいていた。
「あ、そろそろ時間なので私の配信は終わりですね。同期の人たちの配信もまだまだあるので、ぜひ見に行ってみてください!それでは、また星が降る夜に!」
コメント
・おつー!
・乙!
・終わりの挨拶いいな
・これは他の人も期待大
こうして私のデビュー配信は終了した。私のVtuber人生が始まったぞ‼︎
大手Vtuber事務所に所属したけど、周りの個性が強すぎて上手くやっていけるか不安です。 ましろ @mashiro_haku
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