焦り


——数日後




―—俊也side



「はぁっ?!」


昼前に来た電話・・・・・・・。

俺は店の事務室で声を上げた・・・・・。



『三木結城さんが入会した。ご苦労様。』


嘘だろっ?!


嘗ての俺の仕事仲間の・・・・祐司からの電話だった。

俺は慌てて店に出て、


店長の忠司に声を掛けた。


「忠司、・・・・申し訳ないけどちょっと出る!!!」


忠司はニカッと笑って・・・・・。


「何かありました???別に店は大丈夫ですけど・・・・・。」


・・・・・・・。


「今日はすぐ戻る!!!」


車のキーを持って急いで店を出た。



なんなんだよ!!!

結城がクラブに入会したって・・・・・・。


マジで・・・・・・。

祐司の思惑通りじゃねぇかッ!!!!!


俺が向かったのは銀座のOH本社。



そして、


あの強者ぞろいの


10階。




チーーン・・・・と、エレベーターの扉が開くと、


そこには大きなマスクと帽子を被った



有名女優・・・Nさん。




話をしている祐司は俺の方をチラッと見ると、

奥から一樹が出て来て


俺を見るとニカッと歯を見せ笑って・・・有名女優Nの方に行き、



「お待たせいたしました。行きましょうか・・・・。」


そう言ってあの扉の向こうに消えて行った。


・・・・・・。


「俊也、・・・・どうした???焦った顔をして・・・・・」


祐司は笑って言った。



「どうしたじゃねぇよ、・・・・結城が入会したって・・・お前等、しつこく勧誘したんじゃ・・・・・・」


俺がカウンターに手を付言うと、


「彼女が自分で決めた、・・・・俺等は特に何も????」


涼しい顔しやがってーーーーーっ!!!!相変わらずムカつくなーーー。


「涼はッ???」


「涼は今新人研修でいない」


くっそぉーーーーーーっ・・・・・





——祐司side



俊也が会社に押し掛けてきた。

血相を変えて。


「俊也、申し訳ないがもうお前の役割は果たされた。長い間お疲れだったな。」


軽くそう言った。


俊也はかなり頭に来たような顔。


「おいっ、・・・・・」



真赤な顔で俺のネクタイを掴む。


「荒っぽいなー・・・・なんだよ???」


「・・・・・・させろ・・・・・・」


は・・・????


「俺を復帰させろッ!!!!!!!」


えっ?!


予想だにしないその言葉。


「・・・プッ・・・・」


思わず笑ってしまうと・・・俊也はまた俺のネクタイをギュッと引っ張り、


「復帰は認められるはずだろ?・・・俺だって涼や淳と張るくらい人気だった・・・・会社的にはOKだろ?」


確かに。

コイツは何度か淳を超えた時もあったし、涼とそう変わらない契約を何年も結んできた。


「わかったよ、・・・では、明日年俸の件で話をするか・・・・」


「今でもいい・・・・。」


コイツ、バカだなーー。

俺は手元のノートパソコンをいったん閉じ、


「でも、・・・・ひとつ言っておくがー・・・・・」


「なんだよ・・・。」


「結城様は、・・・涼中心に予約を入れる約束をしている。なるべく他のスタッフには当てない・・・。要は、お前が復帰したとて・・・・結城様のご予約にお入れする可能性はゼロに近い。」


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