第5章 女が戻った日



涼君は一度オフィスに荷物を取りに行き、私は最初来た時から同じ場所に座って首だけを動かし辺りを見渡した。


ソファー脇の雑誌が入ったラック。


一冊取り出し見出しを見ると、


『エステ・美容特集』



わっ!


私はその見出しに食い付きページを捲った。


んっ???


ここ有名店なのに、値段の設定がよく分からない。


普通に一時間コース2万位するのにここに、ここに書かれているのは・・・0円~3000円。


何でっ???

0円って何??


しかもこんな雑誌見たことないし。

その雑誌の発行元を見ると・・・


ん??


『O,H』


・・・・・・・・・。

OHって雑誌も発行してんのっ?

半端ないじゃん。


ペラペラと捲っていくと都内のエステやネイル、脱毛・・・・全てが高級有名店ばかり。

なのに金額は皆0円から2000円、とか3000円とか・・・。



一番後ろのページを見ると予約方法の案内が書かれていた。


会員のページにログインし、ネットログインのIDとパスワード入力後に・・・・

SS会員→1・S会員→2・N会員→3

を入力。


第二のパスワードを入力し、照合され通ったら予約開始。


SS会員とか・・・Sとかってなんだろう。





——涼side



オフィスに戻ってPCの電源を落とし、斜め前のデスクに居た淳の方を見た。


「淳、俺もう上がる!」


そう言うと淳はキーボードを打つ指を一回止め俺の方を見た。


「あの子?」


そう言った。


「あーーー・・まぁそうだな!!オフィスの鍵宜しく!!」


そう言ってカバンを持って車の鍵を持つと・・・。


「涼ーーー、あの子入るの???」


・・・・・・。


あの子が待つ、ロビーに繋がる扉の方に向かいながら淳の方を見ると・・・淳はニカッと笑った。



「いや、・・・ここの話は何もしてないし・・・・。」


俺が言うと・・・・。


「入るなら俺も仲間に入れろーーーーッ」


と、背伸びをしながらそう言う淳。



コイツマジで言ってるの?と、眉間にしわを寄せ淳をじっと見てしまった。


そして、


「お前・・・・、昔の事根に持ってんの?」


俺がそう言うと、淳はまた笑って・・・・。


「俺!!結構執念深いみたい!!」


・・・・・。


オフィスを出てロビーに行くと、


あの子、・・・結城はさっきと全く同じ場所に腰掛け雑誌を捲っていた。


「ごめん!!お待たせー・・・・」


俺が声を掛けると彼女は顔を上げて笑った。


「ねっ・・・!!このSS会員って何????」


・・・・・・。


SS会員・・・・・。


それは・・・・。


「それはまたゆっくり話そうか・・・・」


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