そのイケメンお兄さんは、私をテラス席に案内してくれた。

私はメニューを眺めてかき氷・・・かき氷。


「えっと・・・かき氷のー・・・レモン・・・・じゃなくて・・・やっぱイチゴにしようかな・・・あー・・・でもメロンがいいかな・・・えっと・・・・」


悩む・・・。


暫く悩んでいると、




「まだ悩むッ???」


上からそんな声ッ!!


わっ・・・


イラつかれてるよな・・・。


「あ・・えっと・・・じゃぁやっぱレモン・・・・あーー・・でも・・・・」


モタモタしてると・・・・


「もういいや!!」


へっ?!


イケメンお兄さんはそう言って奥に行ってしまった!!


わっ・・・


えっ?!


怒ったッ?!



奥の方を見てるとお兄さんは直ぐに見えなくなってしまった。


あれ・・・・、どうしよう・・・・。


私・・・帰った方が良いのかな・・・・。



なんか他の店行った方が良いかな・・・・。


不安な気持ちでいっぱいになっていると、さっきのお兄さんは2.3分で直ぐに戻ってきた!!


えっ?!


片手にデッカイかき氷を持って・・・・。



ゴトッ!!!!

私の目の前に置かれたかき氷。


私はかき氷と私の横に立つお兄さんを交互に見た。


だっ・・・・

だってぇっ!!!


「お前がなかなか決めないから全部かけたら変な色になった!!!」


ッッッ・・・・。


「すっごい色ッ・・・」


そのかき氷は、ピンクとブルーと黄色とグリーンと・・・練乳も掛かっていて、周りにはフルーツがいっぱい乗ってる。


すっご・・・。


私がビックリして、ププッと吹き出して笑うと・・・お兄さんはスプーンを私に渡してきた。


そして、


「責任もってちゃんと食えよッ!!!」


イラつかれたのかと思ったけど・・・・・


お兄さんは・・・意外と優しくて・・・・


シロップを全部かけて戻ってきた。



その時食べたかき氷の味・・・・。


なんだか、忘れられない・・・・・。







―海の家厨房―



「おいっ!!今かき氷持って行った子、橘結城ですか???超可愛くないですか??」


バイトの一人がそう言った。


「あーーー・・浜辺でさっき撮影してたからなーー・・・」


俺はそう言って他の客の食べ物を準備していた。


「さっき喋った??可愛かった???」


皆でそんな話をして盛り上がっていた時、


俺の携帯が鳴り、俺は店の裏に向かった。


電話は会社からで、10分ほど話をし店に戻った。


すると、


「電話長ッ!!!・・・もう帰っちゃったぜ??」


今日一緒に手伝いに入っていた奴がそう言って笑った。


あ・・・・・、


そっか・・・。



さっきまであの子が座っていた席には、もう違うギャルが座ってて・・・。


撮影のスタッフたちも、もう引き上げていた。





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