第4話 12月11日12時


 翌朝。

 車を出した俺は、7時前に美佐と駅前で合流し、高速に入った。

 目的地には10時過ぎに着く予定であったが、事故渋滞に巻き込まれてしまい、結局、2時間も遅れての到着になってしまった。

 

 「……ここだろうな」

 山肌を削って作られた待避所に車を停め、俺と美佐は外に出た。

 コメントにあった、△を右折して入って来た山道である。精密地図で調べると、この近くに林道があるのだ。

 「ほら、あそこ」

 山沿いを回り込み、斜面を覗き込んでいた美佐が言う。

 見ると、雑草に覆われた下り階段があり、その先が細い道に繋がっていた。

 ……山の深部へと繋がる林道である。

 一年前、史郎はここに入ったのだろうか。


 俺たちは車からリュックを出して背負うと、草を掻き分けて林道に降りた。

 美佐は気負っているのか、俺を置いていくような速度でどんどんと進み始める。

 「最初からとばすと、すぐにバテるよ」

 俺の言葉に、美佐は振り返らずに答えた。

 「だって、山は日が暮れるのが早いんでしょ。今は12月で、陽が落ちるのは早いし」

 美佐の言う通りである。しかも、予定が二時間も遅れている。

 俺は美佐の後を追った。

 林道は木陰で暗く、空気が冷たかった。

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