第14話

俺は何て利己的なんだろう。知らない内に君をこんなにも傷つけていたなんて。



援交はただの口実で、君は俺と一緒に居たかったんだけだったんだね。



なのに俺って奴は関係を割り切ろうとしてた――…。

アイドルみたいな君とああやって関係を持てただけで満足だった。

それ以上は最初から無いと思ってた。求めてもなかった。

だって相手はこんな俺だから。




「…………!」



君の教室がある階の階段をあがった時背後から身体を掴まれ、近くの教室に引っ張りこまれた。



ガタンッ



押し倒され、誰かが俺の身体に覆い被さっている。



懐かしい匂い。 目を閉じていたって分かる。




「加藤君………っ」



君は俺にギュウっと抱き付いてきた。



さっきのムービーを見ていなかったらこの行動すら、ただの性欲で片付けていただろう。



だけど今は胸が痛い程に伝わってくる。




【君が―…好きです】




言葉にすればきっとこの関係は駄目になっていたんだよ。



だって俺は、君の事好きじゃなかった。



好きになってはいけなかったんだ。



だけど今は何故だろう。

不思議な気持ちだ。



俺は可愛い君の頭を撫でた。




「……チューしていい?」



俺の胸に顔を埋めたまま君は訊ねた。

肩が震えているよ?泣いてるのがバレバレだ。



「何で?」

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