第13話

――…ぽたっぽたっ



気付けば、頬のラインを涙が通っていた。




零れ落ちてゆく俺の気持ちを表す涙。




好きなんかじゃない。…好きじゃなかった。


だけど、君は俺を好きでいてくれたんだね。



サイト上で俺だって知っててメールくれた理由も、君が俺に安売りをする理由も


『君って呼ばないで。菜月って呼んで…お願いだから』


あの言葉の意味も‐……



理解出来ていなかった事が今、漸く理解できた。




「赤沼……なんか、有難う…」



そう言った俺に赤沼は微笑み返した。




俺は男子トイレから飛び出した。






行かなきゃ。




今すぐに君の所へ行かなきゃ。

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