第12話
赤沼は俺を凝視したまま動かない。
俺はため息をついて一言だけ言葉を放った。
「…菜月が望んだ事だから」
――バン!!
「……!?」
赤沼が突然立ち上がり、俺の机を叩いてきた。
俺も驚いて飛び上がったけど、クラスの連中も驚いた様子で俺達に視線を向けてきた。
「来い!!」
赤沼は俺の手を掴んで引っ張った。
「何処行くんだよ」
そのまま男子トイレの中に連れ込まれて鍵までかけられた。
――この状況、一体何だ?まさか今から俺を殴るのか?四角いトイレの中をキョロキョロと見渡す。
便器に顔を突っ込まれたりとか…?
「見ろ」
俺が色々と考えていると、赤沼が携帯の画面を俺の方に向けさっきのムービーを再生しだした。
正直、もう見たくない。
「………」
「これは俺じゃなくて他の奴らだ。俺と同じ学校の誰かが佐原をレイプしたムービが出回ってるんだよ!」
――――……え。
赤沼はムービーの音量をあげた。
『嫌ぁぁッやめて嫌ぁ……!!』
教室では聞こえなかった君の悲鳴。
どれだけの絶望が君を襲ったんだろう。その映像はとても酷たらしいモノだった。
『………やめて……もう嫌!!嫌ぁ……!』
モザイク無しの裏動画でもこんなにグロいものは今迄にあっただろうか。
君の中に、沢山の男性器が出たり入ったり、おまけには後ろからも攻められて―――…
「もう…いいよ赤沼、吐きそうだ」
「いや、いいから見ろ。これは俺の命令だ」
「こんなの見たって…俺は……!」
…菜月にはもう会えないんだ。
『……加藤君……助けて…』
――――…!?
俺は目を見張った。ムービーの中の君が確かに、俺の名前を呼んだ。
『何お前加藤って奴が好きなの~?もっと突っ込ませろよ!』
誰かがそう言った後、ムービーは切れた。
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