第5話
「でも、こんな街に一人で酔っぱらってふらふら。
誕生日会か何かの帰りだった?」
「え、何故、今日が私の誕生日って知ってるの…」
そう思うが、学生証に私の生年月日も書いてある。
「もう日付変わって、真湖ちゃんの誕生日終わったけど」
そう言われ、ベッドボードのパネルのデジタル時計を見ると、
0時を過ぎたばかり。
「あなたは、誰ですか?」
再び、この男性に目を向けた。
「俺は、加賀見 一夜」
カガミイチヤ…。
一瞬、なんか聞いた事ある名前だな?って、考えたけど。
その名前に、すぐに思いあたる。
「加賀見…一夜って…」
目の前の男は、驚いている私の顔を楽しそうに見ている。
「真湖ちゃん、俺の事知ってるんだ?
身近に、それ系の人間か、警察関係者でも居るの?」
その言葉に、心臓が音を立てる。
警察関係者、という言葉。
「だって…あなた、有名人だから」
「そう。俺、有名人だけど、
限られた人間しか、俺の名前聞いてもピンと来ないよ?」
そう、私を追い詰める。
「…私の彼氏が、K署の組織犯罪対策課に居て…。
時々、あなたの名前を彼から聞いた事ある…」
「ふーん。そう」
私のその答えに、いま一つ納得行かないような表情だけど。
本当、だし。
それに、彼氏の本堂昌也(ほんどうまさや)の部屋で、
昌也が持ち帰っていた資料の中から、この人の姿が写った写真を見た事がある。
それは、興味心から、昌也の目を盗んで勝手に見たのだけど。
その写真の人物と、目の前の彼。
印象は違うけど、同一人物。
先程とは違い、鋭く細められたその目。
「あなたは本当に、聖王会3代目会長の加賀見一夜なのですか?」
広域指定暴力団の聖王会。
その構成員は5千人以上だと言われている。
その聖王会の若き会長が、この加賀見一夜。
「そう。俺その加賀見一夜」
掛けている眼鏡を外し、口角を上げて笑っている。
眼鏡を外すと、ますます写真で見たこの人の印象に近付く。
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