第4話

うっすらとした意識の中、

自分の体に掛かる重みと温もりを感じる。



唇に触れる、柔らかい肉感。



意識が段々とハッキリとして来て、

目を開いた。



目の前には、知らない男の顔がもう本当に数センチの距離にあり。



細めた目で、私を見ていて、

落とすようにキスをして来る。



それは、つい先程迄感じていた、柔らかい感触。



「…っ、ちょっと、何するんですか?」



私はその男を突き飛ばすように押す。



「え?まだチューしかしてないのに」



その男は私から離れて行く。



私は大きなベッドの上に寝転んでいる事に、今気付いた。



此処、何処??




「あの…此処は何処なのもそうですが、あなたは誰ですか?」



私はゆっくりと体を起こす。



ちゃんと服は着ていて、ホッとした。



目の前のその男は、ベッドに胡座を組んでこちらを見ている。



赤いフレームの眼鏡の下は、ちょっと垂れ目で。




優しそうに、見えるけど。



そういえば、私、酔っぱらってこの人に倒れ掛かったような…。



うっすらと、そんな記憶が蘇る。



「あの、私、あなたにご迷惑掛けたみたいですみません」



「いえいえ」



「でも、だからって…」



キスしたり。



そして、今居る場所が何なのか気付いた。



一見、高級ホテルっぽいけど、

多分、此処はラブホテル…。



ベッドボードに、コンドームと思わしきものが置いてあるから。




「でも、俺、ちゃんと訊いたよ?

ホテル連れてっていいか?って。

真湖(まこ)ちゃんに」



え、私の名前知ってるの?



「もしかして、全く記憶ない?

綾瀬真湖(あやせまこ)K大学の四年生って、真湖ちゃんが俺に教えてくれたのに」



そうなんだ…。



酔ってて、本当に記憶がない。



「って、嘘。

勝手にホテルに連れて来たのもそうだけど、

真湖ちゃんの鞄の中勝手に見て。財布から、学生証をちょっと見させてもらった」



私は思い出したように、鞄を探す。


それは、部屋のソファーの上に置かれている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る