《番外編》 クッキーとなんちゃってロシアンティー

真夜中、寮長説得後。

・・・

「…夜食、食いたい。」

「え?」

「夜食が食べたいと言った」

……

「しょうがねぇなぁ~~~後で寝る前にモフモフさせろよ~~?」

「我が満足したらいいだろう。」

「…そういえば、アタシンって何食うんだ?メロンソーダは飲んでたけど…」

「人間の食べ物ならだいたいなんでもイケるぞ」

「んー、了解。」

寮備え付けの冷蔵庫を見てみる。

「ちなみに今はクッキーが食べたい」

「じゃあクッキー作るか」


──────


用意するのは、

・薄力粉

・バター

・砂糖

・卵

「まず、薄力粉を百g測って…よし」

「もっと多く作れ」

「バカお前、そんなに多く作ったら夜食作った事バレんだろ!」

「チッ」


「次、砂糖を大さじ三入れて薄力粉とよーく混ぜる。」

「なんでよく混ぜるんだ?」

「気分」

「そういうもんか?」

「そういうもんだ」

「そういうもんか」


「混ぜ終わったら卵を投入。これは気分じゃなくて美味くなくなるからよーく混ぜること。」

「へー」

「そしてここに溶かしたバターを投入。」

「美味そうだな」

「ちなみに、溶かしバターは市販のポップコーンに入れて袋振るだけで超美味くなるからな。」

「それも食いたい」

「今度な」


「だいたい混ざって良い具合になったら、握りこぶしの四分の一か三分の一程度に丸く分ける。

そして天板の上にアルミホイルを敷いて、そのアルミホイルの上に丸く分けたクッキー生地を敷き、少しだけ潰す。」

「潰すのやりたいぞ」

「やるならビニール手袋付けてな」

「うい。了解。」


「最後は上からアルミホイルを被せて、オーブントースターで五分くらいずつ焼く。五分五分でクッキーに爪楊枝とかを刺して、焼き加減を確認する。くっつかなくなって、だいたい良い匂いがしたら完成。」

「はやく!はやく食いたい!はやくー!」

「……」

前足(手)を上下にぺたぺたしてる…!か、可愛い…!


「完成~!」

「やったー!」

「ほらどうぞ、アタシン」

「いただきまモグモグ」

「いただきますは最後まで言えよ」

「ん、んんん~!」

「どうだ?」

「んまい!んまいぃ~!」

「くっ!?」

可愛い…!!

「ホクホクサクサクで美味い!美味しい!ヤミー!デリシャス!グラッチェ!」

「おうおうすげー喜んでくれんじゃん。こんな喜んでくれんなら、俺も作ってよかったよ。」

「毎晩食いたい!」

「それは無理だ。…あ、そうだ」

トトトトト…

「?冷蔵庫なんか見てどうしたんだ?まだ何か作ってくれるのか?」

「イチゴジャム~…あ、あった。それと、」

「おーい」

「紅茶入れるから少し待ってな。」

「?紅茶は甘いのしか好まんぞ」

「大丈夫、甘いヤツだ」

「!!」

目をキラッキラさせてこっちを見てくる…しっぽまでブンブン振ってるし……か、可愛いぃ…!!


「ホイできた。なんちゃってロシアンティー」

「なんちゃってロシアンティー?」

「童話に出てくる架空の国で嗜まれたとされる、超ファンタジーな飲み物だ。まぁ飲んでみなって。」

「……」

ごく…

「あちっ…て!これ普通の紅茶じゃないか!」

「だろ?でもこのイチゴジャムを入れるとあら不思議…」

どうやらアタシンは甘党らしいので、スプーン三杯分のイチゴジャムを掬い、紅茶に混ぜてやる。

「…?」

「飲んでみな。」

「………」

ごくっ

「!甘いし美味い!」

「だろ?」

「最高だ!これは最高の夜食だ!」

「……満足したか?」

「うん!我は満足したぞ!」

「じゃあ……思う存分、モフってもいいよなぁ?」

「あっ……」


こうして俺は、アタシンのモフモフを堪能したのだった。

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七つの魔人〜凡人の俺が最強の魔人と友達に!?〜 偶然寺かなめ @GuuzenziKname

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