第10話お嬢様は予言書を書くそうです。
「執事、最初は何を書こうかしら。」
「まあ多分当たらないので何を書いても大丈夫ですよ。」
「あら、こういうのは当たると思って書いた方が楽しいのよ。何か大きなことを書いてみましょう。」
「えーとなになに…【ここら一帯が火の海になる】…。当たらないとは思いますけどすぐにその願いが浮かんでくるのはサイコパスですね。」
「ねえ、説明書に書いてあった付属の粉が無いのでだけれどどこにあるのかしら。」
「当たらないので無くても大丈夫でしょう。」
「執事、そういうのをフラグと言うのよ。」
その瞬間願いが書いてあった紙が燃えた。
そしてその炎が屋敷一帯を包み込んだ。
「…お嬢様ダンジョンに行きましょうか。」
「そうね。」
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~ダンジョン六九階層~
「執事、あの家燃えてしまったけど帰ったら私怒られるのかしら?」
「そうですね。僕はお嬢様が泣いているところを久しぶりに見れると考えたらニヤつきが止まりません。」
「…ふーん。まあいいわこれでこの予言書が本物だということが分かったわね。」
「お嬢様が僕の貶しを流した…!明日は世界が滅ぶのでは…。」
「あら、ただ今回は私が全面的に悪いから素直に怒られてやろうと思っただけよ。それにいつも執事のせいにしていたら可哀想なだけよ。」
「お嬢様…う…うぅ…成長しましたね…。」
「…それより次は何の予言を書こうかしら?」
「その予言書が凄いのは分かりましたがお嬢様は何を願うのですか?…だいたいのことはお金でどうにかなるのでは?」
「む、確かにそうね。なら本来ここに居ないモンスターを出すのはどう?」
「例えば何を出すのですか?」
「そうね【八九階層ダンジョンボス災厄級ゾンビヘルドラゴン】を出すのはどうかしら?」
「断固拒否っす。」
「先日反省文を書いているときご飯を持ってきてくれたメイドの胸元を見て鼻を伸ばしていたのはどこの誰でしたっけ?」
「…お嬢様、せめて五〇%程度の【限界突破】は解放してもらえますか?」
「そうね、四〇%は解放許可を出すわ。」
その時執事についている機械の縛りが緩まった。
「じゃあ紙に書いてみるわね!」
「なんでそんなにワクワクしているんですか?」
「初めて七十階層以上のダンジョンボスを見られるのよ。ワクワクするに決まっているじゃない。執事が名前しか教えてくれなかったからずっと気になっていたのよ。」
「ちゃんと離れていてくださいね。全体攻撃で一撃で死ぬので。」
「あら、そんなに私が貧弱に見えるのかしら。」
「スライムの体当たりで骨折するようなお嬢様のどこが貧弱じゃないんすか。」
「顔が良くて体が弱い。まさに理想的なヒロインじゃない?」
「腹黒くて人を貶すのが得意。まさに理想的な悪役ですね。」
「あら、私には例えられるキャラがあるけれどあなたにはそんなキャラすら無いなんて可哀想ね。」
「お嬢様、悪役じゃなくて悪そのものですね。」
「それも悪くないわね。…とりあえずパッパとドラゴンを生み出しましょう。」
そういってメアリは紙に書き始めた。
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