最終話:人間になりたい天使。
「なんで?なんで二度と天界には帰りたくないの?」
「それだけど・・・」
「昔、天界で神様に不満を持った男の天使たちが神様に戦いを挑んだの。
でもその戦いに敗れた天使たちは神によって混沌へと落とされたんです・・・
そして混沌に落ちた堕天使たちは徐々に力を付けて悪魔になってまた神様に
戦いを挑んだんです」
「戦いは凄絶を極めました・・・終わらない神と悪魔の戦い」
「共倒れになることは恐れた神様は考えました・・・悪魔への生贄として女性の
天使を差し出すことを・・・」
「悪魔にとって女性の天使の血と肉は不老不死を与え、また天使に戻れる力をも与えます」
「明日のクリスマスの夜に私は生贄として悪魔のところに送られる予定になって
たんです・・・」
「でも私、悪魔の生贄になんかになりたくない・・・生きてたい」
「そう思って、こっそり人間界に逃げて来たんです」
「ここで人間の男子を頼って助けてもらおうと思って・・・」
「それで最初は、私、御蔵駅で立ってたんです・・・でも信用がおけないような
お兄さんやスケベそうなおじさんが寄って来て「おネエちゃん一晩いくら」って
聞いてくるから怖くなって、だからネットカフェでマッチングに登録したんです」
「で、僕がJ Kってワードにまんまと引っかかったって訳か?」
「それにしても、今の話、大それた話だね・・・」
「で?君は、ライラちゃんはどうしたいわけ?」
「僕に頼っても何もしてあげられないよ?」
「神様や悪魔と戦かって君を守る力なんてないし・・・」
「いいんです、それは・・・私はただ人間になりたいんです」
「人間になれたら大丈夫なの?」
「悪魔も天使じゃなくなった私に、人間になっちゃった私に用はないでしょ?」
「だけど、どうやって人間になるの?・・・そんな方法この人間界にあるの?」
「うん・・・ひとつだけ方法があるの?」
「なにそれ?」
「それはね、クリスマスが終わる前に私の好きな人に抱かれること」
「私が処女を失えば、その時点で私は人間になれるの・・・」
「なるほどね・・・って?」
「なに?間違ってたらゴメンだけど、その君の処女を奪って人間にする役目・・・
もしかして僕?だったりして・・・あはは」
「お願い・・・蓮さん・・・蓮ちゃん・・・私を人間にして」
「あいや〜そんな重大な責任負うとは思わなかったな」
「今夜は可愛い女子高生と楽しい時間を共有してあわよくばエッチなんか
できたらいいな〜なんて思ってはいたんだけど・・・」
「そういう理由でエッチすることになるなんて・・・」
「ダメ?・・・・ダメでしょう?」
「いやダメじゃないよ・・・これも人助けだし・・・喜んでライラちゃんの
力になるから・・・」
「ありがとう蓮ちゃん・・・私を好きにしていいよ・・・」
てな訳で僕はイブの夜、天使のライラちゃんの処女を奪ったわけで、
そして次のクリスマスの日、彼女の背中にあった羽根はきれいさっぱり
なくなっていた。
天使だったライラは念願なかって人間の女になった。
とってもチャーミングでキュートで、可愛い人間に・・・だからもう悪魔の生贄に
なることもない。
マッチングサイトで出会ったJ Kだと思った天使・・・今は僕の彼女・・・きっと
来年のイブもライラと過ごしてると思う・・・エクスタシーを覚えたライラと
の最高のイブを・・・最高にセックスを・・・。
おしまい。
イブの夜のとっておきの女子高生。 猫野 尻尾 @amanotenshi
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