第7話 初級魔法

「まず初級魔法の代表ファイヤーボールを打てるようになりましょう」

アルバンは辺りに何も無い事を確認して

「では手本を見せるのでよく見ててください」

右手を前に突き出したと同時に突き出した右手が赤く光り炎が灯った。

「ハァッ!」

右手の炎が物凄いスピードで真っ直ぐ飛んでゆき

あっという間に見えなくなってしまった。

「フゥ.....少し張り切ってしまいましたw」

少しどころの威力じゃないだろと心の中でツッコんでいると

「では今の動きを真似してみてください」

アルバンがそう言うので一応、見様見真似で一連の動きをやってみたが

「.......何も出ません....」

期待していた訳では無いがやっぱり何も出なかった事にショックを隠せない。

「恐らくツトム様は魔力を放出する回路の意識が出来ていないんですな」

「回路??」

俺がオウムの様にそう聞き返すと

「そうです。この世界の生き物は皆魔力を保有しており、その魔力を放出する回路があるのです」

もといた世界は魔力とは無縁の世界だったので、いきなり魔力の回路と言われてもいまいちピンと来ない。そんな何も理解していなそうな俺を見てアルバンが

「魔法はイメージが1番重要です。体の中にある熱を全て右手に集中させてみてください」

と、分かりやすく魔力の放出方法を教えてくれた。

「熱を.....集中.....」

ブツブツ呟きながら右手に熱を集中させるイメージをしていると、右手にモヤがかかったようになっていた。

「こ、これが....」

「そうです、それがツトム様の魔力です」

初めて魔力を実感する事ができて喜んでいると

「では、その魔力に炎をイメージしてください」

すかさずアルバンがそう教えてくれたので

「はい!」

勢いの良い返事をし、右手の魔力に炎をイメージした。すると、

「も、燃え始めました!」

さっきのアルバンの様に俺の右手に炎が灯った。

「良い調子です!ではその炎を前に飛ばすイメージをしてください」

俺は右手を前に突き出し、

「はっ!」

炎を前に飛ばすイメージをして放ってみると

「と、飛びました!!」

本当に飛んだ。俺は遂に魔法を使うことができた。

「素晴らしい!これならすぐ私を越せますね!」

アルバンもそう言って俺を褒めてくれた。

「さあ!この調子で魔法をどんどん習得してくぞ!」



──夜

「ハァッッッ!」

魔力を込め、手を前に出すと勢いよく拳程の大きさの石が真っ直ぐ飛んでいった。

「ツトム様おめでとうごさいます!これで癒し系以外の全属性の初級魔法を習得ですな!」

「ッしゃあぁぁ!」

「後は、精度を上げ発動をもっとスムーズにすると完璧に近づけるでしょう」

「ありがとう!アルバン!」

アルバンにお礼を言っていると

「お疲れ様」

後ろからそう話しかけられたので振り返ってみるとそこにはエレナが水とタオルらしき布を渡してくれた。

「ありがとう!エレナ!」

「どう....いたしまして////」

耳まで真っ赤になったエレナを見て

「これでベルナール家も安泰だな....」

アルバンがそう呟く。

「お父様のバカァァ!」

エレナの怒号が夜の村に響き渡った。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

努力の天才、クラス転移で追放されるも根性だけで成り上がる 陽田 日向 @youdahyuga

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画