第2話 成長
「やめて!離して!!」
私がそう叫ぶと
「もうよい、その娘の拘束を解け」
王がそう兵士に命令する。
「ハッ!」
キレの良い返事をし私の拘束を解いた。
「努を何処にやったの!?」
王に勢い良く問い詰めた。
「ハァ、、奴は今頃街の外にでもいるのだろう」
王は呆れた顔でそう言った。続けて王は
「全く、、、、、王に対するその無礼、貴様のスキルが”勇者の加護”でなければとっくに追放しておるわ」
そう、私のスキルは”勇者の加護”で、魔王討伐において必須なスキルのようだ。
ここで私は考えた。『私が王にも支配出来ないくらい強くなれば努を助けに行けるのではないか?』と。今の弱い私のままではどの道、努を助ける事は出来ないためまず強くなる必要がある。
「皆と一緒に訓練に行ってきます」
私がそう言うと王はニヤッと笑って
「そうか!そうか!分かってくれたか!」
と意気揚々とした様子で言った。
「待っててね努、絶対迎えに行くから、、、、」
ボソッと小さな声で呟き私はその場を後にした。
──「きゅ、、うじゅうきゅう!、、、ひゃ、、、く!」
翌日から俺はステータスを上げるために腕立て伏せなどの筋トレをしていた。
「よっしゃ!パワーが15も上がってる!」
ステータスは辛いトレーニングであればある程上がりやすく、逆に負荷が少なければステータスは全く上がらない。なのでステータスを沢山上げるには日々トレーニングを過酷にしないといけない。その事実に気付いた俺は
「まだまだ追い込むぞ!」
逆に熱が入りより一層トレーニングをするようになった。
──数時間後
「ギュルルルル、、、、、」
俺の腹が大きな音を立てて腹が減ったことを知らせる。
「そうだよな、昨日のバスに乗る前から何も食べてないもんな」
先ずは食糧を何とかしないと飢え死にしてしまう。
俺は食糧になりそうな物を探し草原を歩き続けた。
すると、遠くに森があるのが見えた。
「あそこで何か食える物を探そう」
ヘトヘトになりながら歩きやっと森の中に入ることが出来た。森に入って食糧を探すこと数十分
「このキノコならなんとか食えるか?、、、」
なんとか食えそうなキノコを見つけることが出来た。心配になりながらも一応、火を焚いて加熱調理をしてから食べてみた。
「美味いぞこのキノコ!」
これが意外といけた。
その後もキノコを採りつつトレーニングをし、森の中に小さな洞穴を見つけたのでそこを拠点に生活基盤を整えていった。
──翌日──
今日もキノコを採りに行こうと思い、俺は洞穴を出てキノコを探しに行った。そこで遂に遭遇してしまった。今まで遭遇しなかったのが奇跡だったのかもしれない。そう、モンスターに遭遇してしまったのだ。数々の異世界系ラノベを読んできた俺は薄々この世界にもモンスターがいるんだろうとは考えていたが、丸腰で武器も装備も何も無い状態で遭遇するとは、しかもゴブリンに
「ん?待てよ」
よく観察してみるとそのゴブリンは棍棒を持っているるものの一匹しか居らず、しかも小柄なのだ。
『チャンスなんじゃないか?』と思った俺はゴブリンに気づかれぬようソッと近づき思いっきりゴブリンの頭を木の棒で叩いた。一撃だった。
直後、俺の頭の中に聞いた事のある無機質な声が響いた。
[レベルが上がりました]
急いでステータスを確認すると確かにレベルの表示があった。俺はなぜこれに気づかなかったのか、
まあそんな事はどうだっていい。
肝心のステータスはレベルが1上がるだけで各ステータス10以上アップしていた。
「これだ!」
その日から俺はトレーニングの合間でゴブリン狩りをし、ステータス上昇の効率を格段に上げることに成功した。
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