第2章:予期せぬ異世界召喚

まぶしい光に包まれ、ソファでふて寝をしていただみんちゃんの体が宙に浮く。


目を開けると、そこは豪華絢爛な大理石の広間だった。巨大な柱が立ち並び、天井には精緻な魔法陣が描かれている。


「ようこそ、勇者よ。我が川崎王国(カワサキングダム)へ」


玉座に座る白髪の老王が、威厳のある声で語りかけてきた。

その周りには、きらびやかな衣装をまとった貴族たちが、好奇の目でだみんちゃんを見つめている。


「えっと...なんで私がここに?」

だみんちゃんは寝ぼけまなこで周囲を見回した。

召喚された部屋の床には、複雑な魔法陣が刻まれており、その中心にだみんちゃんは立っていた。


「我が国は今、魔王の脅威に晒されている。その圧倒的な魔力で、我が国の魔術師たちは為す術もない」


老王は深刻な面持ちで続ける。


「そこで、異世界から最強の魔術師を召喚することにしたのだ。お主の持つ強大な魔力は、確かに伝説級。我が国を救うことができるのは、お主しかいない」


だみんちゃんは首を傾げた。確かに魔力は持っているし、魔法も使える。でも...。

「あー、すみません。(魔法使用許可取り消されちゃったから魔法は使えますけど)

魔法使えないんですよね...」


会場が静まり返る。

「なにっ!?使えぬだと!?」

老王の声が広間に響き渡る。貴族たちの間からもざわめきが起こる。


「召喚の魔法陣が示す魔力は確かなものなのに!?」

宮廷魔術師が慌てて魔力測定を始めるが、だみんちゃんは黙ったまま。

魔法は使えるけど、地球での魔法使用許可取り消しを正直に話すのも面倒くさい。


「これは...召喚の失敗としか...」


老王は深いため息をつく。


「残念だが、魔法の使えぬ者に我が国を託すことはできん。これを持って、王国を去るがよい」


侍従が差し出したのは、粗末な布袋。中には金貨が3枚。


「はぁ...まぁいいや」


だみんちゃんは肩をすくめ、金貨を受け取った。


こうして彼女は、召喚された直後に追放される、異世界史上最速の追放者となった。


「王都の城門まで護衛しよう」


騎士に導かれ、だみんちゃんは王城を後にする。

窓から見える夕暮れの街並みは、どこか懐かしい雰囲気を漂わせていた。


「ねぇ、この国って辺境の方に住みやすい村とかある?」


護衛の騎士は意外そうな顔をする。

「北方に、のどかな村々がございますが...」


「じゃあ、そっち行こっと」

だみんちゃんは、新たな生活への期待を胸に、夕陽に向かって歩き出した。

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