第6話 愛する妻の元へ
イザナギは、最愛の妻の顔が頭から離れずにいる。笑った時の顔は、穏やかな大地のようで、眠っている顔は静かに波打つ海のようだった。子どもが産まれた時の嬉しそうな顔は、新たな概念を産み出しそうなほど美しかった。
だが、妻は既にこの世界のどこにもいない。根拠のない話しでは、
「ならばどうすればいい......虹の戦士にでもなって、光照らせば良いのか......」
東へ向かって、うつむきながら歩いている。そんな時、背後から声が聞こえた。振り返ると、そこに立っているのは
「イザナギではないか」
「これはこれは......」
「元気がないな。 我が子を紹介しようと思ったのだが......」
「イザナギ叔父上、お初にお目にかかります。
「ああ、左様か......そうだ我が子の元へ戻らねば......」
神農は、礼儀正しく挨拶をしたが、今のイザナギにそんな余裕はなかった。どうすれば、愛する妻の元へ行けるのか。そればかりを考えていると、見かねた
「
「どのようにしてだ......」
「この地球よりも、
唐突にそう話した
創造神の第二世代である彼らは、必要なものはなんだって創れるというわけだ。やがて雲は、空を埋め尽くしさらに上昇している。
「さあ行こう! 神農、君はここで待ちなさい」
「あ、父上、母上!」
「待ちなさい神農! もし戻らなければ、貴方が世界を治めなさい」
「
三柱が、空中へ飛び上がっていく様子を呆然と見つめている神農は、置いていかれたことに不満げだ。
東にある土地をぼんやりと、眺めながらも自らの住処へ戻っていった。神農の住処から、東にある土地こそイザナギが矛で創り上げた国だ。
「はあ......もう数年したら、僕も我が子を創るとするか。 父上と母上に似た龍という子どもを創ることにしよう! 姿は、黄金にして強い子に育てるか!」
上半身は、イザナギのような姿をしているが、下半身はヘビのようだった
こうして、広大な土地に取り残された神農は開拓を続け、天とやらに飛び立った
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