第2話 創造神の子ども
イザナミとイザナギという若人は、アメノミナカヌシが産み出した。ガイアは、二柱の愛に惹かれ、自らも子どもの前に夫を産み出した。
一方でアメノミナカヌシと共に
しかし伏犠と女禍は兄妹でありながら、ガイアの憧れる愛を分かち合っているのだ。
「どうして、皆は我が子よりも前に自らの愛を求めなかったのかしら」
ガイアには理解ができなかった。自分も産まれたからには、愛を分かち合い、快楽というものを味わいたかった。イザナギとイザナミや伏犠と女禍のように、互いを見つめ合い、微笑むような関係を羨んだガイアは新たに「嫉妬」という概念を産み出した。
やがてガイアと共に地球へ降り立ったラーとユミルも我が子を産み出して名前をつけた。ラーは、オシリスとイシスという夫婦神と共に愛を守る守護神としてバステトという猫の神を産み出し「守護」と「動物」という概念を創り上げた。
そしてユミルは、ロキという子どもを産み出したが誰よりも身体の大きかったユミルから産まれたロキは、イザナギたちよりも大きな肉体を持って産まれた。
「そう。 皆、子どもを産み出したのね。 ならば私とて子どもを創りましょうか」
だが、ガイアはどうしても愛というものを知りたかった。イザナギとイザナミは、見惚れるほど美しい愛を分かち合い、歩んでいる。時に身体を急激に密着させて、何やら滑らかに動いているのは、何をしているのだろう。
ガイアは、夫のウラノスの下半身にまたがり自らも上下に動いてみたのだ。何度か動いた時に、自らが体験したことのない快感と共に子どもたちが産まれてきた。
「こ、これは......なんと醜いのか......」
夫のウラノスは、産まれてきた子どもを見て絶句している。それは、あまりに醜い姿をしているからだ。しかしそれでも、ガイアにとっては快楽と共に産まれた我が子なのだ。愛という感情が働き、我が子を愛そうと心に決めたが、ウラノスはそうではなかった。
「こんなに醜い子どもは、イザナギや伏犠とは似ても似つかない! それに見てみろ! ラーやユミルが産み出した子どもは、まともじゃないか!」
ここでウラノスによって「嫌悪」という概念が産まれ、我が子を罵倒されたことからガイアは「怒り」という概念を産み出してしまったのだ。
夫に何を言われても、我が子を愛しているガイアは子どもたちを「ティタン神族」と名付け可愛がろうとした。
だが、ここに来て夫のウラノスは、最悪の概念を産み出してしまうことになる。
「醜すぎる。
なんとウラノスは、我が子を捨ててしまった。自ら創り上げた地球に存在するもう一つの世界である冥府へと。この蛮行によって死後の世界「冥府」の概念ができてしまったのだ。
ガイアは夫の蛮行に怒り狂い、冥府へ赴き我が子たちにウラノス殺害の命令を出したが、空間を創り上げてしまう力を持つ父へ挑む者はいなかった。
兄弟の誰もが、肩を縮めて強張っている中、母のために腰を上げた子どもがいた。
「やりましょう。 母上のために、我ら兄弟を叩き落とした父を討ちます」
ティタン神族の末の息子である、クロノスが立ち上がった。他の兄弟たちは、冥府に留まりウラノスを討ち倒そうとはしなかった。
ガイアは自慢の息子であるクロノスを連れて、最低な夫の寝込みを襲った。そしてクロノスは眠っている父を殺害してしまったのだ。
「ありがとう可愛いクロノス......私に愛は向いていなかった。 これからは、我が子のために愛を注ぐわね。 さあティタン神族の兄弟を連れ出してあげなさい」
「お断りします母上」
息子の言葉に耳を疑った。そして目を疑ってしまった。可愛い息子は、冥府から自分の姉であるレアだけを連れ帰ると、快楽に浸り始めてしまった。
慌てて止めに入ったガイアは、他の兄弟を連れ戻すように何度も頼んだが、クロノスは聞く耳を持たなかった。
「父上の言う醜い者とは、本当のことですよ。 姉上だけは、俺に似て美しい。 だから姉上と子どもを創り、この地球を栄えさせますよ」
こうして「嘘」と「裏切り」という概念も産まれ、ガイアは強い憎しみを抱き始めてしまったのだった。
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