第6話 こんなことになるとは思っても見なかった
エリュクシュエルは執務室で
大きなため息をついた。
まさか自分の娘が勇者と結婚することになるとは。
正直言って結婚は
まだまだ先のことだと思っていた。
幼いエリザローズが「パパー!!」と
笑顔で駆け寄ってくる記憶。
あの頃のエリザは確か7歳。
今のエリザは17歳である。
時の流れは残酷なほど早い。
まだまだ子供だと思っていたが
恋を経験するほど大人になっていたのだな。
思わず笑みが溢れる。
だが……。
「エリュクシュエル様
誠にこれでいいのですか?」
側近が苛立ったように声を上げる。
「王妃様の仇の息子をエリザローズ王女
の結婚相手にするなど!!」
「ルシファー……。
お前が口出しすることではない」
打って変わって冷たい視線を向ける
エリュクシュエルにルシファーは一瞬口籠る。
「……ですが……っ!!」
「黙れと言っているのが分からないのか?」
立ち上がり、ルシファーを押し潰すかのように
足を背中に乗せ踏みにじる。
「ぐぁぁぁぁぁぁあっ!!?」
苦痛に顔を歪ませるルシファーに
エリュクシュエルは笑いかけた。
「我が妃を殺した先代勇者を俺が許すと思うか?
この結婚は好機だった。
ロザリーナが味わった苦しみを息子共々味わせる。ああ、今からでも楽しくてたまらないよ。」
その快感に満ちた笑顔はまさに悪魔だ。
悪魔は欲望のためなら何でもする恐ろしい種族。
手に入れようとするものは違っても
エリザローズとエリュクシュエルはよく似ていた。
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