第5話 悪魔と勇者の婚姻
禍々しい黒い薔薇が咲き誇る庭園にて
式は執り行われた。
月明かりがエリザローズの横顔を照らし
美しいエリザローズを更に美しく引き立てる。
紫色のドレスを見に纏い、黒いヴェールで
顔を隠しているが、嬉しそうに
口角が上がっているのが見てとれた。
そんなエリザローズについ見惚れてしまった
グレオルだが彼女を殺すという
目的を忘れてはならない。
気を引き締めようと両手で軽く頬を叩いた。
グレオルはエリザローズに用意してもらった
黒のシャツに紫のタイ、上着の襟元には
金の刺繍が施してある王族の
衣装を身に纏っている。
「それでは、魔法契約のキスを」
黒い衣装を見に纏ったエリュクシュエルの言葉に
エリザローズとグレオルは向き合った。
普通なら神官が式を執り行うが
神官は多少なりとも聖なる力を持っているため
悪魔には害がある。
よって、悪魔社会では身近な者が
式の進行をするという習わしが今でもあるのだ。
えっ!?
魔法契約って何!?
初めての単語にグレオルは激しく狼狽するが
唇に温かい感触がした。
キ、キ、キ、キスゥっっ!?
エリザローズが背伸びをして
グレオルに口付けを落としたのだ。
その途端二人の間に黒く光る糸が結ばれた。
「ふふふっ。これであなたはわたくしのもの。
わたくしもあなたのものよ♡」
唇を舐めるエリザは妖艶でグレオルの頭が
クラクラした。
魔法契約のキスはお互いの縁が
強く結ばれることを意味する。
つまり、グレオルはエリザローズから
永遠に逃げられない。
そういうことだ。
哀れな勇者に合掌。
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