第3話 「できる」を積み重ね、前へ進む
日々を過ごす中で、私の頭の中には「できない」という声が何度もこだまする。両親の将来、介護費用、経済的な不安、自分の障害、思うように進まない執筆活動……それらは私に「立ち止まれ」と囁くかのようだ。しかし、近頃の私は、その声を無理矢理かき消そうとはしない。むしろ受け止めた上で、そこから「できる」ことを探そうとしている。
私には、まだ使い切れていないツールがある。AIをはじめとする新たな技術は、文章や発信内容を磨き上げたり、アイデアを広げたりする手助けとなる。情報収集や仕事の効率化、収益化への道筋づくりにおいて、それらは心強い伴走者だ。また、生活面でも、支出を抑えるための工夫はいくらでもあるだろう。節約を通じて、将来の不安を少しでも和らげることができるなら、その一歩は確実に意味を持つ。
自分に「できる」ことは小さなものかもしれない。しかし、できることを一つずつ積み上げていけば、それらはやがて大きな自信へと姿を変えるはずだ。少しでも収入につながる仕事を見つける、執筆の場を広げる、読者との対話を通して自分の表現を深める……その積み重ねは、両親がいざ介護を必要とする日が来たとしても、私が経済的に何も用意できない状態よりは、確実にましな状況へと導くだろう。
もちろん、不安が完全に消えることはないかもしれない。人生に保証はなく、どれだけ努力したところで、すべてが思い通りに進むわけではない。それでも、「どうせできない」と思い続けるより、「やってみよう」と前を向くほうが、私にとっては救いになる。両親へ恩返しをしたいという思い、社会に何か貢献できる人間でありたいという願い、それらが私を突き動かす原動力であり続ける。
不安な未来に向けて、私は今、小さな種を蒔いている。この種はすぐには花開かないかもしれないが、きちんと根を張り、やがて芽を出し、花びらを広げる時が来ることを信じている。私が「できない」ではなく、「できる」と思って行動し続ける限り、その花はいつか、私と両親、そして同じ境遇で悩む人たちの心を彩ってくれるだろう。
介護の予算と将来の不安 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92
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