第2話 模索する役割と経済的自立への遠い道
将来の不安は見えてきたが、どこから手をつければいいのかは依然として手探りだ。自分は障害があり、一般就労には大きな壁がある。それでも、両親に何かしら恩返しをしたい。将来、介護が必要なとき、少しでも経済的な支えになれればと思うが、現状は障害年金に頼るしかない。安定収入がないことは、精神的な負担として私の心にのしかかる。
けれど、嘆いているだけでは何も変わらない。私にできることを、私なりの方法で模索しようと思う。筆をとること、それは私が選んだひとつの道だ。書くことなら、体力的な制約があっても自宅でできる。自分の言葉を通じて、同じような悩みを抱える人と繋がり、共感を呼ぶことができるかもしれない。経済的な自立を目指すうえで、執筆活動が即座に大きな収入源になるとは限らない。むしろ、多くの人が文章で食べていくことの難しさを知っているだろう。しかし、何もしないよりは、可能性の芽を育てることが大切なのではないだろうか。
書くことを通じて、自分の存在価値を確かめたいとも思う。自分が社会にとって何か役に立てるのならば、その延長線上に経済的な安定も見えてくるかもしれない。私が発する言葉が、同じ障害や金銭的な不安を抱える誰かの背中を、ほんの少しでも押すきっかけになれば、私の生きる意義は確かなものとして手のひらに残るだろう。
スマートフォンやパソコン、そしてAIをはじめ、今はさまざまなツールを利用できる時代だ。情報発信の場も、ブログやSNS、オンラインのメディアなど、選択肢は豊富にある。少しずつ腕試しをしながら、社会に向けて「ここに私がいるよ」と伝えていけたらいい。そこから小さな収益が生まれれば、さらにそれを拡大する術を探せばいい。もちろん、すべてがうまくいく保証などどこにもない。それでも、「何もしない」状態よりは、希望に近いのではないか。
両親は私を育ててくれた大切な存在だ。その恩を返すことは、必ずしも大金である必要はないだろう。自分自身が自立に向けて努力している姿、わずかでも前進している実感を、彼らに伝えることも恩返しの一部だと信じたい。長い道のりを前に、まだ具体的な成果は見えないが、一歩踏み出すだけでも景色は変わるはずだ。その一歩は、いま私が手にしたペンの先から始まる。
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