「無双の貴公子」(むそうのきこうし)

第5話

ファーストスキルの系統による職業選択の方法、転職した職業に応じた武器選択の方法や、ステータスポイントを最大限効率的に分配する方法、韓国に存在するゲートの地理と環境、ゲート内に生息するモンスターの情報、クエストの種類と効果的な戦術、都市型ゲートの生態など。

ライオンの城では、プレイヤーに必要な基礎知識を生徒たちに熱心に教えていた。

「筋力ステータスが上がると力が大幅に増加し、速度や防御力にも役立つ。敏捷ステータスは速度と動体視力を向上させ、感覚にも多少の影響を……。」

キム・ジンミョンや生徒たちの心配とは裏腹に、

ジェヒョクは授業に熱心だった。

授業が始まると、メモを取りながら真剣に集中していた。

「こんなこと知らない人いるの？一般人でも分かるはずだけど？」

「……ステータスを上げる方法は、レベルを上げるか、クエストをクリアすることだ。レベルが上がるたびに主力ステータスは2、それ以外のステータスは1ずつ上昇し、クエストではクリアするたびに一定量のステータスポイントが支給される。」

「その『一定量』ってどれくらいなんですか？」

「そ、それはクエストの内容によるだろう。お前はそれも知らないのか？」

「知らないからここに座ってるんでしょ。」

「……主力ステータスは、君たちが選択する職業によって決定される。戦闘系職業の主力ステータスは力、体力、敏捷の中から選ばれる形だ。したがって職業は自分のステータスの中で最も高いステータスを基準に決めるのが理想的だが……現実的にはそれは難しい。職業を選択する際にステータスより優先すべきなのはファーストスキルだ。筋力ステータスが最も高くても、ファーストスキルが魔法系で開花した場合は当然、魔法系の職業に転職すべきだろう。」

「そんな間抜けがこの世にいるんですか？普段から筋力を鍛えた人なら当然、戦闘系スキルが出るまで覚醒を延ばすでしょ。」

「くっ……。」

ただし、熱心なことと態度の良さは別だった。

授業内容に次々とツッコミを入れられたせいで、キム・ジンミョンは何度も言葉に詰まり、授業の進行に悪影響が出た。

教師1人が生徒1人に1学期中与えられる罰点が10点に制限されていなければ、

キム・ジンミョンは1時間の授業内でジェヒョクを退学させる自信があった。

「ファーストスキルを開花させるためには血の滲むような努力が必要だという事実を君も知らないわけではないだろう。自分自身を限界まで追い込む苦行を10年以上『継続』して、ようやく開花するのがファーストスキルだ。B組の生徒全員が既に経験済みのことだ。」

「限界まで追い込むんじゃなくて、限界を超えてたらもっと早かったでしょうに……。」

「カン・ジェヒョク、お前は16歳であることを考えれば、5～6年でファーストスキルを開花させたのだろう。しかも自分に適したファーストスキルを一発で得て覚醒したようだな。だが大多数の人々はお前とは違い、運がそう簡単にはついてこない。」

ジェヒョクのように運よく、初めから適切なスキルを得られる人はプレイヤー全体の1％にも満たない。

ましてや上級プレイヤーを目指す人々は「まあまあ使えるファーストスキル」を得るために20年以上の苦行を強いられるケースがほとんどだった。

「お前の運が良かったからといって、他の人々も同じだという錯覚は捨てろ。その思い上がりは多くの人々を欺き、傷つけることになるという事実を自覚しろ。」

「でも、俺、覚醒してないって言ってるんですけど？」

「……。」

あの野郎、オウムか？

キム・ジンミョンは非常に不思議な経験をした。

胸の奥深くから湧き上がっていた怒りが嘘のように消えていく感覚だった。

まるで悟りを開いたような気分だった。

にっこり。

満面の笑みを浮かべたキム・ジンミョンは、ジェヒョクを無視して授業を続けた。

***。

-末っ子、ごめんね。お兄ちゃんが怒りを我慢できずに協会長を1時間殴り倒してしまったんだ。 力加減をうまく調整していたので、たぶん殺されることはなかったんだけど...。とにかく俺が今、家の近くを徘徊してたら、協会が名分を得て家をひっくり返すんだろう？ そうしたら、後でご先祖様に会う面目がないだろ？ 末っ子、お兄ちゃんはしばらく遠出するよ。俺が帰ってくるその日まで、姉さんたちの言うことをよく聞いて、お父さんの世話をしなさい。

「この無責任な野郎、お前は長男という奴が...。もしもし、もしもし、もしもし！おい、強大性！？

-ヘヘッ、ごめんね。国会議事堂に爆弾仕掛けて大統領を誘拐しようとしたのがバレたんだ。 くそったれ副官のクソ野郎のせいで...。とにかくお姉ちゃんは心配するな！ 独房でもしっかり食べて、しっかり寝て、頑張るから！ うん、15年なんてガムだ！ 副官の野郎も後で俺の手で直接殺してやる！ ドゥナの言うことをよく聞いて、お前は父親のことだけよろしく頼む！

「お前はただ...。刑務所で一生腐ってろよ。

-修行の旅に出るわ。 韓国ではダメよ。お兄ちゃんとお姉ちゃんのせいで雲行きが悪いんだ。

「あんたまでいなくなったら、家には俺しかいないじゃん。

-それがどうした？ お前が子供でもないのに。

「俺、8歳だよ、このバカ野郎！」

***。

「末っ子よ、ごめんな。兄ちゃんが怒りを抑えられなくて協会長を1時間ぶっ叩いたんだ。力を加減して、多分死にはしなかったと思うけど……。とにかく、今家の近くをうろついていたら協会が名分を得て家をひっくり返すだろう。それでは後でご先祖様に顔向けできないじゃないか？ 末っ子よ、兄ちゃんはしばらく遠くへ行くよ。俺が戻るその日まで、姉さんたちの言うことをよく聞いて、お父さんをしっかり世話してくれよ。」

「この無責任野郎め。お前、長男だろうが……。え？もしもし？もしもーし！おい！カン・デソン！！」

「ヘヘッ、ごめん。国会議事堂に爆弾を仕掛けて大統領を誘拐しようとしてバレたんだ。クソ副官野郎が密告しやがって……。とにかく姉さん、心配しないで！ 刑務所でもちゃんと食べて、寝て耐えるから！ うん、15年くらい余裕だよ！ 副官野郎は後で俺が直接殺してやるからな！お姉さんはよくしてやって、末っ子も父さんだけはしっかり世話して！」

「お前はもう……刑務所で一生腐っていろ。」

「修行に行くよ。韓国じゃダメだ。お兄ちゃんやお姉ちゃんのせいで身動きが取れない。」

「お前までいなくなったら家には私しかいないんだけど？」

「それがどうした？お前、もう子供じゃないんだろ？」

「私、8歳だよ、このイカれ野郎！」

……。

……。

ジェヒョクは悪夢をよく見る。そのうちの一つが、3日連続で兄弟たちからかかってきた電話の内容が繰り返されるというものだ。

今思い返しても、どうしようもない奴らだった。

ジェヒョクは時々考える。

もし自分までいなかったら。

ヤチャ（夜叉）の子供たちは全員狂人の汚名を着せられただろうと。

「アイツがあの狂った奴らしい。」

「それ本当なのか？聞いても信じられなかったけど。」

「休み時間に女子トイレの前でチョン・ヘジを出せって叫んでるの見たら、本当っぽいな……。」

「逃亡者カン・デソンと反逆者カン・ヒョナの弟だって……。あのレベルになると遺伝子レベルで問題があるんじゃないの……。」

昼休み。

食堂へ向かう途中、ジェヒョクは多くの刺すような視線を感じていた。

ヤチャの息子が転入してきたというニュースが学校全体に徐々に広がっているようだった。

「フン。」

ジェヒョクは朝からずっと不機嫌だった。

教師という人間は話が通じないし、学生たちのレベルは話にもならないほど低い。

目の前の様子を見ても、歩いている学生たちのほとんどが体の中心がずれていた。

自分の体をどう扱うか全く知らないという意味だ。

鍛錬を怠った証拠でもあった。

「実習過程でチームプレイもあるって聞いたけど、面倒だな。」

父さん。

どうしてこんな奴らのために献身なさったんですか？

あなたが祖国の未来を守るために流した血と汗がもったいなくてたまりません……。

ジェヒョクは何より罰点が気になった。

ライオンの城は学生を徹底的に成績で評価する。罰点が累積すると身分を問わず退学させられるという校則があった。

退学基準は罰点50点。

だがジェヒョクは登校初日から10点の罰点を受けてしまったため、不愉快になるのも当然だった。

「おお。」

食堂に到着したジェヒョクの顔が嘘のように明るくなった。

生まれて初めて嗅ぐ香りがとても素晴らしかったのだ。

一度に千人以上を収容する食堂のど真ん中にビュッフェがたっぷりと並べられていた。

『黄執事は料理の資格もないのに、どうして執事になれたんだ？』

黄執事は料理に全く才能がなかった。

脂肪の少ない肉、野菜、ナッツを丸ごとすり潰してお粥を作ったり、魚と芋を混ぜてお粥を作ったり、卵と栄養剤を混ぜてお粥を作ったり……。

健康的に食べれば元気に育つという理由で、栄養価の高い食材をぶち込んだ犬の餌のようなものを出すのが日常茶飯事だった。

目が覚めて寝るまで剣を振るだけだった幼少期のジェヒョクでさえ、食事の時間だけは精神がピリッとしたほどだった。

『……黄執事のおかげで俺は目を覚ますことができたんだな？』

やはり黄執事は大切な人だ。

こうやって恨む一方で、また感謝するのだから。

「おい。」

『パン食べるぞ。』

食器を2つ手に取ったジェヒョクの表情はさらに明るくなった。

朝ご飯ではお粥ではなく米飯を食べて目が覚めた結果、7杯も平らげてしまったのだ。

昼ご飯にはパンを種類別に全部試してみるつもりだった。

『50個くらいありそうだな。』

「おい。」

「これは揚げパンか？」

「おい！」

「……？」

にこにこと笑いながら食器にパンを積み上げていたジェヒョクが、ふと動きを止めた。

どこかの小僧が睨んでいた。

ぼさぼさの髪の毛をした小柄な少年だった。

ジェヒョクはその姿を炎のようだと感じた。

ライオンのたてがみのような赤い髪のせいではなく、燃え盛るようなその瞳の輝きがそう思わせたのだ。

妙な迫力があった。

その奥に隠された激しい怒りと切望を、ジェヒョクは直感した。

それは見慣れた目だった。

毎日自分が見てきた目。

「何だ？」

「お前……割り込みしたのか？それも1年生の分際で？」

「……？」

人々が列を作って順番を待つとき、自分も従うべきだという常識くらいはジェヒョクにもあった。

どんなに社会経験がなくても、それくらいは黄執事から教わったことだ。

だから確かに列に並んだはずだが……。

「小さいから見えなかったのか？」

「ちっ、ちっさいって？俺が？」

「じゃあ俺が小さいって言うのか？謝れ。」

「謝る……だと？」

「お前が小さいせいで俺が割り込む羽目になったんだ。謝るべきだろう。」

「こいつ頭おかしいのか……？」

赤髪の少年が唸り声を上げ始めると、周囲で様子を見ていた生徒たちが震え上がった。

2年生Bクラスのペク・ドジン。

少年の性格はとても悪名高かった。あまりにも凶暴で、あだ名が「狂犬」だったほどだ。

特に「小さい」と言われると目が裏返るのは有名だった。

2年生はもちろん、3年生の間でもその事実は知れ渡っていた。

新入生にとっては何とも不幸な情報だった。

「キャアア！」

白目をむいたペク・ドジンが突然手を振り回した。

『その眼差し、気に入ったと思ったが。』

ジェヒョクの目に面白そうな光が浮かんだ。

小柄な少年の体に宿った重心が見事だったのだ。

『あの小さな体に上手く体重を乗せてるな。重い武器を扱おうと努力した形跡がよく分かる。』

おそらく中型武器を扱うのだろう。

その劣悪な体格条件を克服するため、どれほど血の滲む努力をしたのか一目で分かる。

半日で会った学生の中で唯一気に入った存在だった。

『お前にはチームプレイのメンバーになってもらわないとな。』

ジェヒョクの目が細まった。猿のように暴れる少年の実力をじっくり観察した。

手を交えるほどにますます気に入った。

体に染みついた技術が通じないと判断すると、すぐに別の手を考え出して実行する能力があった。

『こいつ、何者だ？』

ジェヒョクの笑みが深くなるほど、ドジンの顔は硬直していった。

生意気な1年生の手首を軽くひねってやるつもりだったが、思うようにいかなかった。

振りかざす手がことごとく跳ね返されたのだ。不思議でならなかった。

『覚醒者か？まさかパッシブスキルでも持ってるのか？』

渦に巻き込まれた心境だ。

体が何度も相手の意図に引き寄せられた。

このままでは埒が明かないと悟ったドジンが拳を握った。

筋力ステータスの力を解放したのだ。

『自分から望んだんだから、怪我をしても恨むなよ。』

覚醒者の授業課程にはモンスター狩りが含まれる。

入学したばかりの新入生覚醒者のレベルは、おそらく1に過ぎないが、2年生であるドジンのレベルは20を超えていた。

拳に力を込めただけで、腕の筋肉が膨れ上がる。

『興奮して、せっかくのいい姿勢が崩れてしまったな。』

舌打ちをしたジェヒョクがドジンの手の甲を軽く叩いた。

放たれた拳が軌道を失い、驚いたドジンが後ろに大きく下がった。

『俺よりステータスが高いだと？新入生なのに？』

ひとつの事実を示している。

新入生のレベルが自分よりも高いということ。

「お前……貴族か？」

貴族はスタート地点からして違う。

物心がついた頃にはすでに2つ目、3つ目のスキルスロットを埋めており、一族所属のプレイヤーたちを引き連れてゲート攻略に励む。

いわゆる「強力なバックアップ」を受けながら、驚異的なスピードでレベルを上げていくのだ。

「高貴なる血筋を見抜いたか。」

背筋をピンと伸ばしたジェヒョクが両腕を優雅に広げた。

「そうだ、俺こそが大カン家の唯一無二の後継者……。」

ドジンが気に入ったジェヒョクが、自身を正式に紹介しようとしたその時。

カランッ！

突然、どこからともなく1枚のトレイがジェヒョクの背後に落ちてきた。

ドジンが驚いて後退した際に手を滑らせて落としたトレイが、放物線を描きながらジェヒョクの頭上を通過したのだ。

問題は、そのトレイに盛られた料理の中身だった。

ドロッ……。

「カン・ジェ……お粥？」

なぜ顔からお粥が垂れているのか。

「くっそ！この忌々しいお粥め！！」

「え、え？」

「このガキが叱られたいらしいな！！」

「キャアアーーー！！」