第10話

「で、俺が河合雄一な」


「えっ、初めて聞きました!」


思わず、驚いてしまった。


みんなして『トラえもん』って呼ぶから、早くも定着しつつあったよ……。



「いーだろ、名前教えなくても。トラえもんがお似合いだぜ?」


「この学校で、『河合先生』って呼んでくれるヤツはいないのか……」


海斗先輩がトドメを刺すように言うと、トラえもんはショックを受けて、ハァ……と深いため息をついてからうなだれた。


かわいそうに思えてしまった私は、河合先生って呼ぶことにしようかな。



「って、あれ? 女子はいないんですか?」


河合先生が自己紹介したってことは終わりっぽいけど、全然、いないんだけど……。



「いねぇよ」


「海斗が怖いって子が多くて、結局、ヤローだらけのつまんない委員会になっちゃったんだ」


「悪かったな」


海斗先輩って、そんなに怖れられてるんだ……。

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