第7話

「直樹。何してんだ?」


ん?


誰なのかわからないけど、女性職員の更衣室の前に男子が立っている。



「わっ! びっくりしたぁ」


「ていうか、何でそんなトコにいるんだよ……」


「えっ。あ、いや、これは……っ」


彼はすごくあたふたとして、動揺を隠しきれていない。


やっぱり、怪しいことでもしてたのかな……。



「あっ、可愛いね!」


「えっ?」


トラえもんから突然、私に顔を向ける。


その表情は笑顔で、まるでどこかのアイドルみたいなキラキラした”スマイル”。


多分、この人はモテるんだろうなって、そんな印象だ。



「俺、直樹ね! よろしく」


「あ、……はい。水澤彩加です」


なんて、身代わりの早い人なんだ……。



「ねえねえ。彼氏いる? いないなら、メアド交換してよ」


「コラ。お得意のナンパすんな」


「チッ。トラえもんのケチ。……あ、もしかして、新しい子?」


「ああ。水澤を紹介したいから、さっさと相談室に行け」


「リョーカーイ」


そう言って、彼はフラフラと私たちが来た道を引き返していった。

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