第5話

× × ×



「水澤。やりたい委員会はあるか?」


昼休み、トラえもんにこんな質問をされた。



「前の学校は何やってたんだ?」


「風紀委員会です」


「風紀か……」


「風紀!? ……彩加! ここの風紀だけは入んないほうがいいよ!」


突然、実沙が私とトラえもんの間に顔を出して、話に割り込んできた。



「コラ、田崎! 変なこと、吹き込むな!」


「だって、テキト~なトラえもんの管理下にある委員会だし!」


「誰が適当だ、コラ!」


「それに、委員長にはよくないウワサだってあるし!」


「ウワサ?」


「その委員長、不良とケンカしたことがあるんだって! まあ、髪を赤く染めてるから、そのせいだと思うんだけど」


「海斗はそんなんじゃない!」


「髪が、赤い……?」


あれは忘れもしない。


あの人は髪が赤かった……!


風紀の腕章をしてたから、もしかして……と思ってたけど、やっぱり風紀委員会の人だったんだ。



「私、風紀委員会がいいです」


「えっ、いーの!?」


「うん。風紀委員の仕事、気に入ってたし」


「そうか。……念のためだけど、ホントに風紀委員会で、いいんだな?」


「はい」


「判った。じゃあ、放課後、相談室に来てくれ。紹介するから」


トラえもんはその報告をするために、職員室に向かった。



「よかったの? ホントに」


「うん」


「なら、いいんだけど……」


このとき、実沙がなんでこんなに気にするのか、わからなかった。


でも、その”ウワサ”の他に”何か”あるんじゃないかって、そんな気がした。

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