第20話:私、今夜ダーリンと結ばれるのかな?

私の家に泥棒が入ったんだけど、幸いにもベスが追い払ってくれたらしい。

だから盗まれたものはなかったけど一応警察へ届けておいた。


「さて柑菜さん、私たちあとは結ばれるだけになりましたね」


「結ばれるってなに?」


「結ばれるって意味は、結ばれるって意味ですよ」

「私のこと恋人って認めてくれたんでしょ?」

「ダーリン、って呼んでくれてるじゃないですか?」

「それって、もうオッケ〜ってことでしょ?」


「そうだけど・・・」

「結ばれるって・・・そのつまり・・・」


「つまりそれです・・・」


「だよね・・・それはちょっとまだ早くない?


「なに言ってるんですか、これほど順風満帆にうまくいってるんですよ私たち 」

「なに躊躇ためらってるんですか」


「結ばれて初めてほんとの意味でも恋人って言えるんです」

「それとも私ではまだ不服ですか?」


「不服とかそう言うこと言ってるんじゃなくて・・・」


「時期相承って言いたいんですか?」

「そんなものは、だらだらと先延ばしにしてたら、かえってよくないんです 」


「お互いの気持ちが充実してる時が一番ベストなんですよ、柑菜さん」


「そうだけど・・・でも・・・そもそも、そんなことどこでするのよ 」


「柑菜さんの部屋でいいんじゃないですか?」


「お父さんとお母さんの部屋が私の部屋の横にあるんだよ」


「大丈夫、柑菜さんの部屋で魔法を使って 特別な場所にいざなってあげますから」

「とっても、ロマンチックな場所で柑菜さんをおもてなししますからね 」


私はダーリンの言ってることが、まったく分からなかった。

特別な場所って?、どこに連れてってくれるの?・・・想像もできなかった。


とりあえず、その話は置いといて、それから家族団らんで晩御飯を食べて、

お風呂に入っていつもと変わらない、そんな夜。


「柑菜さん・・・お父さんとお母さんは自室に引っ込んでしまいましたから

私たちも部屋にいきましょう」


「あ・・・ちょっと待って・・・ドキドキするんだけど」

「聞くけどさ・・・今夜?・・・するの?」


「そうですよ・・・嫌ですか・・・これは自然のなりゆきですよ、柑菜さん

でも柑菜さんが嫌だって言うなら無理強いはしたくないですけど」


「イヤって言ってるるわけじゃなくて、心の準備が・・・」


「準備なんていってたらいつにことになるか分かりません」


「分かった・・・・もしかしたらって思って、そのつもりで体がすり減る

くらいまでお風呂で洗ってきたから・・・」


「あはは・・・柑菜さん・・・可愛いから」


「笑わないでよ・・・エチケットでしょ」


「じつは、なにを隠そう、私も体がすり減るくらい洗ってきたんですよ」


「あはは、ダーリンだって・・・人のこと笑えないよ」


それで私は少し、緊張が解けた。

で、私とダーリンは私の部屋へ・・・。


部屋に入るとさっそくダーリンは呪文を唱え始めた。


すると私の部屋は見る間に、見たこともないような夜の景色に変わっていった。

満点の星空に、銀色に輝く月・・・そして森と湖が現れた。

湖には一艘の小舟が浮かんでいた。


私はいきなりの部屋の変わりように、ぽかんと口をあけたまま唖然としていた。

なんて素敵なところ・・・。


「柑菜さん・・・なにボーッとしてるんですか?」


つづく。


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